オーストラリアには用途に応じて様々な数字がふられたビザが存在しますが、その中に通称「416ビザ」と呼ばれるビザがあります。
416ビザとは?
416ビザは、正式名称を、
416スペシャル・プログラム・ビザ(Special Program Visa Sub Class 416)
・・・と言います。
その名の通り、スペシャルなプログラムのためにオーストラリアに滞在しようとする人のために用意された、スペシャルな(特例的な)ビザです。
416ビザができた背景
一般的に、よく知られているビザには、学生ビザや永住ビザ、観光ビザ、ワークビザ、ワーキングホリデービザなどがありますが、渡航者が多いと、どうしてもそれらのカテゴリーに該当しない渡航目的(プログラム)というものが出てきてしまいます。
例えば、観光でもないけど、通学するわけでもないので学生ビザでもなく、でも無給ボランティアなのでワークビザでもない、といった日本語教師アシスタントなどのボランティアでオーストラリアに滞在しようとする人など、主要なビザカテゴリーで裁けない滞在者を、この「スペシャル」なビザでオーストラリアは対応しているのです。
このようなビザカテゴリーを用意してくれていることからも、オーストラリアは移民や外国からの訪問者に寛容な国であることがわかりますね。
ちなみに416とはオーストラリアの各ビザに振り分けられた認証番号で、例えば、ワーキングホリデービザは417(サブクラス417)、観光ビザ(ETA)は976 と呼ばれています。
以上まとめますと、416スペシャルプログラムビザとは、ボランティアで日本語教師をしてみたい人、つまり日本語教師アシスタントにピッタリのビザ、ということになります。
ポイント:
- オーストラリア出入国は何回でも可能。
- ビザ有効期限は派遣校での活動期間以内。最長365日まで。
- アルバイト含めた、有給の就労はできません。
- 3ヶ月以内のパートタイム等非正規コースなら語学学校通学は可能。
416ビザの目的
オーストラリア移民局の416スペシャル・プログラム・ビザ(サブクラス416;Special Program Visa Sub Class 416)の説明では、「青少年の交流および“組織化された労働を目的とした訪問”に参加する人々に発給されるビザ」としています。
例えば、移民局に認定されているSLAPプログラム下での「日本語教師アシスタント・ボランティア」プログラムのような特別なプログラムに参加する人々に発給されます。
参加者は、特定の青少年交流プログラムや、公共団体がおこなっているプログラムに参加することにより、異国での見聞を広げることができます。
一方、オーストラリアの受入れ団体にとっては、異文化交流や国際親善の機会を創造できるというメリットがあり、画期的なビザです。
日本人の場合、日本語教師ボランティアとしてこのビザを取得する場合がほとんどですが、フルブライト奨学金による留学プログラムや、一部のビジネスインターン(有給)* でも、このビザを利用することができます。
*…ビジネスインターンで有給になるかどうかは参加期間や参加者の能力及び雇用主にもよります。
416ビザ申請条件
- 若くて健康な者(18歳以上29歳と364日以下)
- 認定されている団体(学校)から受入れを許可されていること
- 宿泊施設と滞在中の生活を保証できること
- オーストラリア大使館指定病院の健康診断で異常が認められないこと
※ビザ申請料は年々どんどん値上がりしています。A$250(2008年9月現在)
※31歳に満たないこと。審査官によって判断が異なる場合があり、実質は30歳を超えた時点で申請は避けたほうが無難。
あくまでボランティア
416スペシャル・プログラム・ビザを取得するには、申請者は日本語や日本文化を海外の学生に教えるというような教育関係の仕事に興味を持っていることを示さなければなりません。将来、教師になりたい人にはたいへん貴重な体験となるでしょうし、オーストラリアの社会そのものに触れてみたいという人にも、教育の現場で教師、両親、子どもたちと出会い、それぞれが置かれている状況や問題を知るよい機会になることでしょう。
しかし、このプログラムは、オーストラリア人日本語教師の後任を探す目的での採用は認めておらず、この416ビザを持っている人は、そのまま有給の学校教師(日本語教師)になることはできません。
あくまでボランティアなので、滞在場所と生活費を準備する必要があるが、ほとんどの受入校が安価でホームステイ(週A$100~150ほど)を提供してくれています。
また、学校での任務は、専任の語学教師(日本語教師)のアシスタントという任務だけに原則、限られています。(実際は、学校の状況によっても変わってきます。)
このプログラムの参加者(日本語教師アシスタント)を受け入れるには、学校側が移民局から認定を得ていなければなりません。
ビザの期間
オーストラリア国内での申請または海外(日本)からの申請かに関わらず、スペシャル・プログラム・ビザは、原則、12ヶ月間(365日間)がビザの最長有効期間です。(2006年に、15ヶ月認められた特例はある。)延長は申請時と同様の条件を満たせば認められますが、いずれにせよ、原則、合計12ヶ月までしか滞在できません。
また、このビザの申請者は、教育現場を活動の場とするため、滞在期間の長さに関係なく、全員がオーストラリア大使館指定または移民局指定病院にて、健康診断を受けなければなりません。
416ビザの切り替え
受入校がすでに移民局に登録されているかどうかにもよりますが、(健康診断受診後)ビザ申請からビザ発給までの期間は、オーストラリア移民局発表によると28日程(約1ヶ月)としているが、それ以上長くかかることもあるので、余裕を持って2,3ヶ月以上前には申請しておく必要があります。
ほとんどの一時滞在ビザから416ビザへの切り替えは可能ですが、学生ビザから416ビザへの切り替えはできません。ビザ切り替えの互換性は、2007年7月現在で以下のようになっています。
○=切り替えOK、 ×=切り替え不可
○ワーキングホリデー(ワーホリ)ビザ→416ビザ
○観光ビザ→416ビザ
○ビジネスビザ→416ビザ
○教職員ビザ→416ビザ
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×学生ビザ→416ビザ
◆活動終了後のビザの切り替え(オーストラリア国内からの申請の場合)
○416ビザ→学生ビザ
○416ビザ→教育・研修生ビザ
○416ビザ→観光ビザ
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×416ビザ→ビジネスビザ
(ビジネスビザはこれまでの経験や技術から査定されるので1年未満のインターンは評価対象外)
×416ビザ→ワーホリビザ(一度日本に帰国してワーホリビザ申請すればOK)
例えば、日本語教師アシスタントとして派遣された学校に、日本語教師の空きができた場合など、通常、日本での教員免許を持っており、実務経験があれば、そのまま学校からスポンサーされて、教職員ビザへの切り替えが可能な場合がごくごく稀にあります。
但し、日本語教師として、英語圏・欧米圏で有給で働くのは、たいへん険しい道のりです。こちらのオーストラリアで日本語教師になるにはのページでも日本語教師に関連する概要を説明してますので、ご参考にしてください。
それ以外の場合は、ビザの種類によってはオーストラリア国内でしか申請できないビザがあるので、注意が必要です。
416ビザで日本語教師アシスタント活動中のアルバイト等について移民法上、このビザを持っている方は、一切の有給の就労はできません。
また、日本語教師アシスタント以外のボランティアをする場合も、禁じられています。
もし日本語教師アシスタントが有給の仕事をすると、移民法上、違反となり、ビザが取り消されることもありますので、ご注意ください。
語学学校に通うことに関しては、3ヶ月以内の非正規コースであれば、通学・受講することが可能です。これは観光ビザと同様の基準となっています。
日本語教師アシスタントの皆さんは、日本語教師アシスタント活動している学校で、いろいろなクラスの授業を聴講させてもらったりしています。英語をぜひ勉強されたいという場合は、日本語と英語の交換授業(Language exchange)をしてもらったりしている方もいらっしゃいます。
416スペシャルプログラムビザ認可証
416ビザ認可証にはどんなことが書かれているのでしょう?実際のビザ認可証を見てみましょう。
以上が416ビザの認可証の内容になります。
出発までの流れ
416ビザは、日本にいるうちにビザ申請し、日本を出発する前に認可されます。日本語教師アシスタント参加者のみなさんには、日本出発前にこの416ビザ認可証をお渡ししますので、
- この認可証をパスポートにはさんでオーストラリアへ。
- オーストラリアの空港、またはオーストラリア国内の移民局にてこの認可証を提示
- パスポートにビザシールが貼られる
- 派遣校にて日本語教員補助活動開始
・・・といった流れになります。
※上記は2007年現在の情報です。
その他関連のご質問
Q1. 私は現在オーストラリア・パースの高校で日本語アシスタントをしています。WHビザで滞在しているのですが、そのビザが切れた後も416スペシャルプログラムビザというビザで、アシスタントをもう一年間続けられるということを聞き、是非そのビザを取得したいと思っています。自分でいろいろリサーチもしているのですが、私のアシスタントをしている先の日本語の先生が移民局に電話で問い合わせたところ、日本語アシスタントではそのビザはとれないと言われました。しかしインターネットで調べてみると、オーストラリアで日本語アシスタントするために416ビザを取れる、と書いてあるサイトがいくつもあります。移民局のビザの審査基準がよく変わるのは知っていますが、正直どの情報が正しいのかよく分からない状態です。私の場合、受け入れ校も決まっていて(今アシスタントをしているところが来年度も居てほしいと言ってくれています)、問題はビザだけなのですが、このビザを取れるのかどうか分からず困っています。エージェントを通してでないと416ビザがおりない、ということなのでしょうか?それから、そちらにビザ取得の手続きだけを依頼するということは可能でしょうか?もしして頂ける場合、費用はおいくらになりますでしょうか?
Q2. 今オーストラリアのメルボルンにて日本語教師をしています。期間が12月の4学期が終わるまでで、その後クリスマスとお正月は日本で過ごす予定ですが、またそのあとオーストラリアに戻って日本語教師アシスタントをしたいと思っております。そこで色々質問なのですが、今私のこのスペシャルプログラムビザ416は来年の4月までが期限です。もし仮に2月の1学期から日本語教師アシスタントを始めたとしたらオーストラリアにいますが、その時は簡単にVISAは更新できるのでしょうか?また健康診断などはどうなるのでしょうか?オーストラリアからの応募も可能でしょうか?
Q3.来年4月から1年間、オーストラリアで日本語教師として働くにあたり、Special Program ( subclass 416 ) visaのSchool Language Assistant Programmeの申請準備をしている者です。
場違いかもしれませんが、貴社のビザ取り扱いのご経験から何点かアドバイス頂きたい点があり、質問させていただきました。
- English language requirementsについて
ビザ申請要項にはFunctionalなレベルの英語力が必要であると記載されています。IELTSを受験しようと考えており、これにはアカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2つのモジュールがあります。どちらのモジュールが望ましいか特に要項には記載が見当たりませんでしたが、どちらのモジュールでもよいのでしょうか。 - 英文の出生証明書( Full birth Certificate )の取得方法について
ビザの申請書類に上記が求められますが、日本の場合は戸籍謄本を取得してそれを英語に翻訳する必要があると理解しております。翻訳はNATTIなど公証人によるものが必要であることも理解しておりますが、これは必須条件なのでしょうか。 - 英文の銀行残高証明書やHealth Insurance Certificateについて
三菱UFJ銀行にて英文の残高証明書を取得する予定です。また、Health Insuranceも日本の保険会社が英文で発行したものを提出する予定です。これらは、accreditedされた書類として認められるのでしょうか。 - 健康診断について
健康診断受験の案内は、ビザ申請後にオーストラリア政府から来ると理解しておりますが、この理解で合っていますでしょうか。 - Police Certificate(犯罪経歴証明書)
これについては、必要提出書類には入っておらず、Australian Governmentが要求するまでは取得しないようにと、要項に記載されているので、最初の申請時点では特に入手しなくてもよいのでしょうか。 - 416ビザ廃止について
オーストラリア大使館のサイトで、2016年11月19日より416ビザが廃止される予定であると知りました。まだ、オーストラリア連邦総監による最終確定はされていないとのことなのですが、このまま、416ビザの申請を進めても問題ないのか不安です。現地での最新状況があれば、ご教示頂きたく存じます。
以上、よろしくお願いいたします。
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A. Q1とQ2及びQ3についてですが、誠に恐縮ですが、前述の通り、本ページは、弊社日本語教師アシスタントにお申込みされた方を対象としております。お申込者には順次、おってご案内いたします。非申込者のビザのお問合せ等には一切、対応しておりませんので、非申込者のお問合せはご遠慮ください。
追記:416ビザの廃止と統合
在日オーストラリア大使館の発表によりますと、2016年11月19日から、スペシャルプログラム(サブクラス 416)やトレーニング・研究(サブクラス 402)などは廃止され、スポンサーシップが必要な従来の6種類のビザ(長期滞在活動、トレーニング・研究、プロフェッショナル ディベロップメント、エンターテインメント、スペシャルプログラム及びスーパーヨット クルー)は、テンポラリー アクティビティー スポンサー(Temporary Activities Sponsor)というカテゴリーに一本化される予定です。(http://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/visa_news_21102016.html)
The Special Program visa (subclass 416) is closed to new applications from 19 November 2016.
You might be eligible to apply for a Temporary Work (International Relations) visa (subclass 403) or Temporary Activity visa (subclass 408).
https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/repealed-visas/special-program-visa-subclass-416