カナダでの日本語教育の実状
こちらのカナダで日本語教師になるにはなどでも触れていますが、オーストラリアやニュージーランドに比べ、カナダでの日本語教育はあまり盛んではありません。
カナダは公用語が英語とフランス語で、語学の習得はまずこの2つの言語からとなり、3つ目の言語となる外国語教育自体には、あまり力を入れていないといえます。
日本語は選択科目の一つですが、香港を始め中国から多くの移民を受け入れているため、中国語(特に北京語)を選択する生徒が多く、日本語を選択する学生は少ないのが現状です。
カナダの日本語クラスがある学校は、現在、カナダの日本語教師アシスタント・ボランティアを派遣している学校全体の約25%程度しかないのが現実です。
しかしながら、これらの学校は、日本語教育を熱心に長く実施している学校で、先生は日本人の場合とカナダ人の場合があります。教える対象はほとんどがセカンダリーの生徒でGrade 9~12(中学3年~高校3年生まで)となります。
カナダの現場からの日本語教育の活動報告
以下にカナダの新年度の9月から、バンクーバー近郊のセカンダリースクールに派遣され日本語教師活動をされている2名ののマンスリーレポートからその活動の様子をご紹介しましょう。
派遣後まもない日本語教師からの体験レポートでは、日本語を教えることの難しさをまず実感しているようです。
日本語教師としての派遣後2ヵ月頃が経過したレポートでは、授業の方針も理解し、少しずつクラスを任されているようです。担当する生徒の日本語力の向上とともに、日本語教師としての成長もうかがえ、サポートする者としてはWで嬉しい限りです。
カナダでは日本語担当の先生(カナダ人またはカナダ永住の日本人)は、日本語と他の教科をかけもちして担当している場合が多く、とても忙しいのが現状です。そのため、日本語の先生がアシスタント教師に任せても大丈夫と判断すれば日本語の授業全体を任されることもあるのです。
英語力も重要
授業は生徒のレベルによって直接法(日本語で教える)または間接法(英語で教える)で行います。日本語を使う機会も多いですが、生徒たちの理解度を増すためにはやはり英語での説明が基本となります。
[参考]:日本語教師と英語
また、カナダ人の日本語の先生の場合、先生からの指示は英語で行われることの方が多いので、日本語クラスのアシスタントとはいえ、ある程度以上の英語力は必要になってきます。カナダでは最低でもTOEIC600程度以上を1つの目安にしていますが、上記の2人の方のスコアは650~750点前後でした。
単にご自分の英語力向上だけを目的とした語学留学と違って、カナダの子ども達と一緒に成長していくプログラムである日本語教師アシスタント・ボランティアは、責任ある地位を担う分、大変ではありますが、達成した時に得るものは計り知れないものがあります。
最近の日本語教師ボランティアの方はカナダで日本語教師活動をしながら、しっかりと通信で「420時間」の日本語教師養成コースも履修して英語で教える間接法などを予習されている方なども少なからずいらっしゃり、将来の職につなげたキャリアアップ志向の方が年々、参加者に多くなってきているように感じます。
[その他参考]:カナダで受講できる日本語教師養成講座(C)Copyright; JEGS International Co.,Ltd. All Rights Reserved.