カナダはみなさんもご存知のように、英語とフランス語という、2つの公用語を持つ国です。
また、カナダは移民によって出来た国である為、国民はアジア・ヨーロッパ・中南米・中東など様々なルーツを持ちます。
近年、特に中国からの移民の増加に伴い、中国語(北京語)のコースを取る人も増えてきました。
日本語を学ぶ人は少ないカナダ
この様な状況の中で、3つ目の言語として「日本語」を学ぶ人はそれほど多くないのが現状です。
小学校で日本語の授業を持つ学校は非常に稀ですし、中・高等学校で日本語を教えている学校もほんの一部にすぎません。
カナダの西端は「アジア」
強いていえば、カナダの中では、アジアに近い西側(ブリティッシュコロンビア州)の学校では、アジア系の移民が非常に多いため、日本語を選択する生徒は、比較的多い、ということはあります。
但し、社会人が学ぶような「日本語学校がたくさんある」という意味ではなく、あくまで小中高校において、外国語の選択科目の1つとして日本語を学ぶ人がいる、という意味です(日本の日本語教師が履歴書を提出すれば採用されるわけではありません)。
そのような学校で活動する日本語教師アシスタントは、学校内で「ここは日本?香港?」と錯覚してしまうこともあるようですが(バンクーバーならぬホンクーバーと揶揄される由縁です)、それほど日本語が盛んな学校は、カナダでは極少数なのが現実です。
まずは日本に関心を持ってもらうこと
ですから、日本語の授業のないカナダの学校では、日本文化を中心に教えていくようになります。
まずは日本や日本語に関心を持ってくれることが、その最大の目的となります。
一応、太平洋を挟んだ「隣国」ではあるものの、意外と日本の場所を知らないカナダ人も少なからずいる状態からスタートするのが、カナダの日本語教師アシスタント活動の実情です。
まずは「日本」をアピールし広報する
今回は、ノバスコシア州の日本語授業のない小学校で日本語教師ボランティアとして活動されたAさんについてご紹介します。
Aさんは中・高等学校の教員免許をお持ちで、書道や茶道が趣味のハツラツとした女性です。学校での活動内容は、週に2~3回ほど、日本文化に関する授業をおこない、空き時間には、図書館や職員室で授業準備を行ったり、英語で行われる通常の授業のアシスタントをしていらっしゃいます。
そして、昼休みはJAPAN CLUBを開き、折り紙を教えています。
また、ご自分の活動経歴や日本文化に関する特技を紹介した特設コーナーを職員室に設け、積極的に先生方に話しかけ、日本やアジアに関する授業をする際は声をかけて頂くよう、ご自分をアピールする努力も惜しみません。
Aさんはレポートで以下のように報告されています。
生徒は、折り紙・習字・相撲・日本食に関する授業にとても興味を示します。例えば相撲の授業では、まずビデオを見せ、簡単な説明をした後、紙相撲を行いました。紙相撲では折り紙も取り入れたため、文化紹介と折り紙が一度に出来、生徒は大変満足していたようです。
トラブルと言えば、高学年になるほど手先の器用な生徒が多くなり、簡単な折り紙ではすぐに飽きてしまう事です。中には私でさえ作れない作品を作って見せに来る生徒もおり、簡単すぎない作品選びを心掛けたいと思いました。
日本語教師アシスタント活動をするにあたり、Aさんも笑顔やあいさつ、そして積極性が何よりも大切だとおっしゃっていました。
日本語のクラスがない学校に派遣された方の中には、
「はじめ何をしてよいか分からなかった」
という方がよくおられます。
アシスタントとして『受身』の姿勢では何も始まりません。
もちろん以前派遣されていた方の役割りを受け継いでいくことも大切ですが、『オリジナリティー』を発揮して、自分ならではの日本文化・日本語紹介を行っていくことが大切だと思います。
- 参考:その他の日本語の機会を創出する方法
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