当ページではニュージーランド(NZ)の学校教育制度についてまとめてあります。
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NZの学校教育制度
1. 初等・中等教育
初等・中等教育の期間は、5歳から18歳までの13年間である。初等教育が6年、中等教育が7年という区分となっているが、地域により次の学校体系に分けることができる。
最も一般的なのが、8年制初等学校(完全初等学校)と5年制中等学校(フォーム5年制中等学校)から成る8-5型である。次に多いのが中等教育の最初の2学年を中間学校として分離した6-2-5型である。この形態は都市部に多い。このほか、人口の希薄な農村部においては、6年制初等学校と7年制中等学校(フォーム7年制中等学校)から成る6-7型や初等・中等一貫型の地域学校がある。
※ニュージーランド派遣の日本語教師アシスタントが活動する先も、これら初等・中等教育機関となります。
(1) 就学前教育
就学前教育機関として、2歳半から4歳までの幼児を主な対象とする幼稚園、プレイ・センターなどがある。これらの就学前教育機関は、ニュージーランド無償幼稚園組合、及びニュージーランド・プレイ・センター連盟傘下の民間団体によって運営されている。これらのほか、0歳から学齢に達するまでの幼児を対象とした保育センターがあり、ニュージーランド保育協会、ニュージーランド認可保育センター連盟等の傘下にある民間団体によって運営されている。
また、先住民マオリ(総人口の12%)の子弟を対象に、マオリの言語・文化を教える就学前教育機関としてコハンガ・レオ(Kohanga Reo)も国によって設置されている。
国は、一定の基準を満たす就学前教育・保育機関に対して補助金を交付している。
なお、これらの機関に在籍している者の比率は、1歳末満約10%、1歳約25%、2歳約45%、8歳約78%、4歳約95%であり、在籍者の機関別構成は幼稚園約31%、保育センター約29%、プレイ・センター約15%、コハンガ・レオ約10%、その他約15%程である(年により異なる。)
(2) 義務教育
1993年に義務教育終了年齢が15歳から16歳に1歳引き上げられたため、義務教育期間は6歳から16歳までの10年間となっている。
(3) 初等教育
初等教育は6年間であり、主として8年制の完全初等学校(6年目まで)、6年制の初等学校(寄付学校)及び地域学校で行われる。ほとんどが公立で、男女共学の形態をとる。
義務教育は6歳からであるが、初等教育は5歳から始まり、5歳児のほぼ全員が就学している。
初等学校へは5歳になった者から順次入学しており、学年の初めに一斉に入学する方式はとられていない。最初の2年間は年少級(Junior division)と呼ばれる準備期間とされ、学年集団が組織されるのは3年目以降である。したがって、初等学校の第1学年(スタンダード1)とされるのはこの3年目からであり、その後1年ごとに自動進級する仕組みになっている。
教育課程の基準は国が全国共通カリキュラムとして定めており、初等学校の6年目(第4学年=スタンダード4)までは英語、算数、社会科、理科、図工、体育、保健及び音楽が教えられることとなっている。
一部の学校では、マオリ語(先住民の言語)や外国語が教えられている。
(4) 中等教育
中等教育は7年間であり、このうち最初の2年間は8年制初等学校の最終2学年又は中間学校で、後半5年間は主として5年制中等学校(フォーム5年制中等学校及び中間学校接続型フォーム5年制中等学校)で行われる。このほか、一部の地域ではフォーム7年制中等学校や地域学校で行われる。
教育課程の基準は、中等教育においても国が全国共通カリキュラムとして定めている。
8年制初等学校の最後の2年及び中間学校は中等教育(中等教育第1・2学年(フォーム1・2))とされているが、初等教育から中等教育への移行期とされ、教育課程の面でも初等教育で教えられるのと同じ教科のほか、技術・家庭科が加えられている。
さらに、第3・4学年(フォーム3・4)では、英語、社会科、数学、理科、保健・体育、図工、家庭科及び音楽の必修教科のほか、経済、歴史、地理、フランス語及びドイツ語などのいくつかの選択教科が教えられる。
また、これに引き続く第5~7学年(フォーム5~7)では多様な選択教科が提供され、生徒は自分の能力・適性・将来の志望などに応じて教科を選択する。
進級・進学制度
義務教育が終了する第5学年の終わりに教育省が実施する学校修了試験(School Certificate Examination)に合格することによって、学校修了証書を得ることができる。この証書は教科ごとに修了を認定するものであり、合格した教科は成績により7段階に分けられる。生徒は最高6教科まで受験できるが、約半数の生徒が5教科、約20%が6教科、約10%が4教科を受験している。いずれの教科を受験するかは生徒の自由であるが、進級・進学のためには英語を受験しなければならない。第6・7学年への進級については、学校修了試験の成績等を考慮して各学校の校長が決定する。
第6学年を修了することにより、教科ごとに第6学年修了証書(Six Form Certificate)を得ることができる。
2. 高等教育
高等教育機関としては、大学、教育カレッジ(「4. 教員養成・研修」を参照)及びポリテクニク(「3. 職業・技術教育」を参照)のほか、マオリの言語や文化の教育を行うために先住民行政当局が設置したワナンガ(wanang)2校や、政府が経費を負担している私立の訓練機関がある。
大学は、すべて独立した法人であるが、その経費の大半を政府の補助金に負っている。
学位・資格制度
学士課程の修業年限は、通常、普通学位取得の場合3年、優等学位の場合4年である。また、修士課程の修業年限は通常優等学位取得後1~2年であるが、優等学位を取得せず進学することも可能であり、この場合の修業年限はさらに1年長い2~3年となる。さらに、博士課程へ進学するためには、一般に優秀な成績で修士号を取得している必要がある。博士課程の修業年限は最低2~2.5年とされるが、実際には3年以上かかる。
入学制度
大学に進学しようとする者は、通常、中等学校第7学年在学中に大学奨学金試験(University Bursaries Examination 及び University Entrance Scholarship Examination)を受験する。合格者は大学入学資格を得ることになり、この試験の成績により各大学が入学者を決定する。
学年暦
大学の学年度は通常2月下旬に始まり11月初旬に終わるが、学期の期間などについては各大学の管理運営に対して責任を有する理事会(University Council)が決定することになっている。
3. 職業・技術教育
義務教育後及び中等教育後におけるレベルの職業・技術教育は、主としてポリテクニクで行われている。各種の職業・専門資格の取得を主な目的とするが、看護、エンジニアリング、会計など極めて幅広い分野にわたる。修業年限も、建設技師、製図技師等の国家資格取得コースの5年を最高に、資格により異なっている。
ポリテクニクヘの入学には、義務教育の修了が基礎要件となる。入学希望者が定員を超えるコースは独自の試験を実施する。
また、就学形態についてはパートタイム学生が極めて多いのが特徴であったが、年々、ポリテクニク在学者に占めるフルタイム学生の比率が高まっている。
ポリテクニクの学年度は、1月下旬又は2月初旬に始まり12月中旬に終わる。