※本ページでは主に海外での日本語教師アシスタント・ボランティアの適正年齢について説明しています。
その理由は、大まかに、
・・・などが挙げられます。
日々、いろいろなご質問が届いてますが、たいていのご質問の回答は「相手方」の立場にたって考えればわかることがほとんどです。
例えば、日本語教師アシスタントとして参加条件の年齢などについてのご質問も同じで、まず、受入側の現地の先生や学校側の立場にご自身が立って考えてみるとわかりやすいです。
1.現地側の事情・要望
まず、みなさんがお仕事か何かの活動でアシスタントを取ろう(採用しよう)としたとき、ご自身よりも上の年齢の方を通常、アシスタントとして採用されますでしょうか。きっと採用しないのではないでしょうか。
指示を出しやすく、またその指示を謙虚に聞いてくれ、精神的にも肉体的にも機敏に動いてくれる人をご自身のアシスタント(補助)として望むことでしょう。そうなると、ご自身よりも年上の方、というのはなかなか雇いづらいと感じるのは誰しも同じです。
【年齢】日本語の先生>アシスタント>生徒
ましてや日本語教師アシスタントを受け入れていただける現地の学校の日本語の先生(日本語教師:現地の国籍の先生ら)は20代、30代とお若い方が少なくありません。
それらの先生方が日本語教師アシスタントに望むのは、日々の忙しい業務のサポートはもちろんのこと、教える生徒(幼・小・中学・高校生)と日本語の先生との架け橋的な役割を担ってくれる方、言い換えれば、日本語を学ぶ「子どもたちのお姉さん(お兄さん)」的な役割をこなしてくれる方、をアシスタント像の1つとして望んでいます。
それを考えれば、自ずと学校の生徒と、その先生の中間的な年齢が理想的であることは明らかです。
女性に向いているポジション
また、年齢以外にも現地の学校からのご要望には、その職種の性質上、できれば女性のアシスタント教師を望む学校も多いのも現実です。(特に日本人男性は社交性がなかったり、これまでも途中で活動を挫折する方が多い傾向があるため、男性の受け入れに前向きな学校はあまりないのが現状です。)
若すぎても難しい
ではアシスタント教師は若ければいいのか、18才~20才前後(大学生)で日本語教師アシスタントに参加するのはどうか、ということになりますが、もちろん、これも個人差があり、一概に言えることでもないのですが、それはそれで問題がある場合があります。
学校教員として適切なふるまいができるか
日本語教師アシスタントは、アシスタント・ボランティアであっても、あくまで現地の学校の教員の1人として活動します。現地の生徒にとっては、教員以外の何者でもありません。にもかかわらず、ご自身の恋愛感情等がコントロールできず、自由奔放にふるまってクビになるケースなどがあります。→日本語教師アシスタントがクビになるケース
アウトプットするものがたくさんあるか
また、日本語教師アシスタントは教室・教壇で自らが持っている頭の中の引出しから、知識や経験したことをアウトプットしていかなければなりません。自らいろいろな経験や学習したことを、生徒にわかりやすいように放出していける術に長けていなければなりませんが、残念ながら若い方にはその豊富な人生経験がなくアウトプットするものがない人が多いのが現実です。
もちろん、アシスタント教師ですので、メインの日本語の先生は他にいるわけですので、完璧が求められるわけではありません。しかし、日本語教師アシスタントとして活動していると自らの力でどんどんアウトプットしていかなければならない場面というのは不可避であり、そのこと自体がアシスタント教師プログラムに参加する醍醐味である、ともいえます。
しかしながら、年々、恵まれた環境で育ってきた、受身でおとなしく、自ら考えたり工夫したり努力する若年層が減ってきている傾向があり、そういった方々は、アウトプットするものがない、もしくは自己表現が不得意な傾向があり、アシスタント教師活動も途中で挫折してしまいがちです。
アウトプットするネタがなければインプットもできません。Give and Take のバランスが大切です。例えば、「英語をもっとうまくなりたいから、アシスタント教師に参加します。」という方がいらっしゃいますが、現地で自ら話していかない限り(=アウトプット)、誰もあなたには話しかけてくれません(=インプット)。話すネタ(=アウトプット)がたくさんある方、または話そうと努力し続けることができる方は、見返りのインプットの量も自然と多くなるものです。
つまり、社会人として最低2,3年以上は社会にもまれ、アウトプットするものをきちんと持ち合わせてからアシスタント教師に参加したほうが、現地でより充実した経験を積むことができる可能性が高くなります。社会人として2,3年といえば通常、25歳前後~になります。
幼すぎる日本人
また、一般的に、日本人は外国人に比べ、幼すぎる傾向があります。精神年齢で例えると、日本人の25-30才くらいが、欧米圏の人々の20才前後に相当するような感じです。
これは一元化された環境で育った日本人に対し、多文化・多民族かつ個人主義的な欧米圏で揉まれて育った人々との環境に違いによるものと考えられています。
いずれにしても、例えば欧米圏では立派な大人である22歳の日本人のアシスタント教師が入ってきても、実は精神年齢が非常に幼く、現地の先生からすれば、アシスタントしてヘルプしてくれるどころか、単に世話をやかなければならない手間がかかる子どもが一人増えただけ、に終わってしまう場合があります。
30才以上は?
では30才以上はどうか、という点ですが、これまでの経験から、これも問題が生じるケースが多いです。人間やはり30歳を過ぎたくらいから、頭も固くなり、体力も落ちてくるものです。
しかし、問題は30才台の方はまだこのことに気付いていない、もしくはこの事実を認めようとしない方が多い傾向があり、結果、「郷にに入れば郷に従う」ができない方が、ただ自分を通すばかりで現地に適応できないまま、問題を起こしたり、活動を終えてしまうケースが30才以上の方に多いのも特徴で、この傾向は年齢が高くなるほど顕著になります。
年齢が高くなるほど、今度は「相手の立場に立ったアウトプット」ではなく、単に自身を主張するだけの方が多くなり、当然、異文化で価値観の異なる周囲との軋轢も高まります。
「アシスタント教師」「ボランティア」とて、基本は一般の会社に就職するのと同じことです。一般の就職が以上のような理由を背景に年齢制限などを設けているのと同様のことが、アシスタント教師にも求められ、ボランティアだから、留学だから、と安易に考えるのは禁物です。
日本を代表する者
アシスタント教師を途中で断念すると、ご自身はさることながら、せっかく受け入れていただいた学校の、日本や日本人自体への心象も非常に悪くなり、なかには「もうこれからはアシスタント教師は受け入れない。」「日本語教育はもう止める。」といった現地の学校も出てきてしまいます。
特に最近は軟弱な日本人が多くなってきているように海外の人たちには見えるらしく、現地の学校の先生らは「最近の日本人はどうしちゃったんだろう?」とおっしゃる先生もいらっしゃいます。
全体としては、若い方は軟弱化、また30才以上の方は硬直化・精神的に不安定な方が多くなってきている傾向があります。
よって、日本語教師アシスタント参加への適正年齢は25~30才あたりに、ということになります。
2.ビザなどの外的な要因
上記1が受入側や参加者の条件による制限ですが、それ以外にも、海外に渡航するわけですから、ボランティアの日本語教師アシスタントとて、当然、各国の基準に応じたビザなどを取得しなければなりません。
国によっては「ボランティア用ビザは30才まで」とはっきり明示しているところもあります。例えば欧米圏でも一番日本語教育が盛んで日本語教師アシスタント・ボランティアの最たる派遣国であるオーストラリアでのアシスタント教師用の正規ビザ(416ビザ)は年齢制限30歳までとして、ビザ認可証にも以下のように記載されています。
416ビザ=SLAPプログラム
オーストラリアの日本語教師アシスタント・ボランティアは基本的にSLAPという制度の下、運営されています。実はオーストラリアでもボランティアだからといって誰でも参加できるわけではないのです。
SLAPについて、オーストラリア移民局(Department of Immigration and Citizenship) http://www.immi.gov.au/
には以下のように告知されています。
This program(SLAP) allows young persons from overseas interested in a career in education to perform duties as a language assistant in a school in Australia. The features of the program are that it is a scheme facilitating the entry of applicants who:
– have been invited by an approved Australian school, to assist in teaching a foreign language and to contribute towards better cultural awareness both within the school and the wider community;
– are young and have a genuine desire to come to Australia to participate in the scheme;
– will benefit Australia by providing expertise in a language other than English and contemporary experience of the life, culture and language of their home country (that is, qualities that would not ordinarily be available to the school community concerned); and
– intend to pursue a career in education and who will benefit personally from the experience and cultural interaction.
要は、日本語教師アシスタント・ボランティアは、若い人を対象とした無償(無給)の国際交流プログラムだから、ビザを認可する、といった主旨で、ここでも日本語教師ボランティアは、基本的な適正年齢がうかがえます。
また、他国でも「ボランティア用ビザ」には年齢制限は設けていないが、暗黙下に年齢とともに発給を厳しくしている国も多いです。そもそも、「30才以上のいい年した方が無給のボランティアで長期滞在するのはおかしい。(有給の就労や永住目的ではないか?)」という見方をするビザ審査官も少なからずいます。
20代であれば、青少年の国際交流的見地から、入国を許しやすい傾向はあります。また、ワーキングホリデービザであれば、さらに取得はしやすいですが、こちらも30才までの年齢制限があります。
各国の失業率なども注意
そもそもボランティアとて、その国で活動する、ということはその国のポジションを1つ奪うこと、です。つまり外国人(=日本語教師アシスタントをする日本人)がその国で活動する、ということは、その国の人から仕事を1つ奪ってしまうことと同等であり、その国の失業率も高めてしまうことも意味します。
例えば、みなさんが日本で就職しようとする時、せっかくいい大学まで出たのに、日本の企業が外国人ばかり採用して日本人を採用しない、となると、皆さん困ってしまいますよね。それと同じで、日本語教師アシスタントにおいても、例えボランティアであっても、まずその国にすでに住んでいる人の中で適切な該当者がいないかが優先され、いなければ消去法的にビザ発給を外国人に認める、という考え方がビザの一般的な考え方です。
その国の失業率が高い時は、さらにビザ発給審査も厳しくなる傾向があり、かつアメリカやイギリスなど先進国では、すでにその国内の人材で十分まかなえる社会になっていますので、そのため先進国になるほど、ボランティアであってもビザ発給・認可は非常に厳しくなっていきます。
よって、このようなビザの定め、もしくはリスクを回避するためにも、日本語教師アシスタントの一般的な適正年齢は25才~30才が妥当であろう、ということになるわけです。
以上は日本語教師アシスタントの参加に際しての「適正年齢」部分のみにしぼった説明ですが、これは参加にさしての一条件にすぎません。
それ以外にも履歴や、お問合せ段階でのマナーなどが日本語教師アシスタントとしての参加に不適切と見受けられた場合は、参加をお断りする場合がございます。
ボランティアとて、どなたでも参加できるものではないこと、また、草の根レベルでの日本代表になりうるということも念頭においてくださいますよう、よろしくお願いいたします。
※上記の内容は個人差がある場合や、国によって条件などが異なりますので、あくまでご参考までの一般論としてご留意いただけますと幸いです。
その他:日本語教師関連の年齢に関する質問
有給の日本語教師の適正年齢は?
Q. 日本語教師アシスタント・ボランティアの適正年齢はわかりました。有給の日本語教師の適正年齢はどんなものでしょうか?
↓
A. まず、日本語教師というのは完全に中途採用市場です。大学新卒者を採用して学校で育て上げるような余裕がある日本語学校はほとんどありません。どの学校も正規雇用者には、即戦力であることを求めています。また、外国人に日本語に加え、日本の社会も教える役割を担う仕事ですから、日本での相応の社会経験も求められます。
社会経験ある20歳台後半~40歳前後がベスト
そのため、日本語教師の適正年齢は、一般的に20歳代後半~30歳台~40歳前後までがベストと考えられています。それまでに日本語を学ぶ生徒のバックグラウンドを理解できるよう、留学その他相応の海外経験も積んでおいたほうがよいでしょう。→関連:[ 日本語教師か就職かの進路で迷ったら ]
また、自身の生活基盤が安定してきた40歳台の主婦の方などにも日本語教師は適しています。と言いますのも、日本語教師の求人で未経験者でも雇われる可能性があるのは、非常勤やパートタイム/アルバイト職であり、そうしたポジションからまず始められるには自身の生活基盤が安定していないとやっていけないためです。日本語教師が主婦に適した職と言われるのもその辺りの諸事情によるためです。→関連:[ 44歳から目指す日本語教師という中途採用市場 ]
少子高齢化・労働力不足でシニア人材の需要
50歳台、60歳代からとなりますと、相当、就職できる職場は限られてきますし、日本語教師というのは授業準備含め、結構、体力的にもハードな仕事でもあります。また、海外で日本語教師就職を目指す際にも50歳ぐらいからビザ発給制限のグレーゾーンの引っかかってきます。
例えば中国では以前は60歳ぐらいまではビザ認可はされやすかったのですが、最近は50歳台でも認可されないケースが出てきており、年々、その年齢上限は引き下げられ、厳しくなる傾向が見受けられます。
60歳前後となりますと、これまで海外駐在歴何十年などで、かつ日本語教師有資格者であることも最低必須条件となりますが、それでも相当、就職できる場所は限られてきますので、それなりの覚悟は必要です。ご年配の方々は、「無から日本語教師を目指す」というよりも、これまでの職場などのネットワーク経由で「先に日本語教師として働く先のアテ」があり、その次に日本語教師養成講座などの資格を取る、といった順序で進まれている方はうまくいっているようです。
ただ、日本の少子高齢化で労働力不足が顕著になるに従って、年々、ご年配者の雇用のハードルは下がってきている傾向があり、今では日本語学校の教員の3人に1人が60歳以上である、という職場も珍しくなくなってきています。年齢は昔ほどは気にしなくてもよくなってきているのが実状です。
日本語教師養成講座受講の適正年齢は?
Q. 日本語教師を目指しています。420時間の日本語教師養成講座を受講したいのですが、受講に際しての年齢制限はありますでしょうか?
↓
A. いいえ、こちらの通信の日本語教師養成講座420時間には年齢制限はありません。これまで18歳の方から上は70歳の方まで幅広い年齢層の受講生が誕生しています。
特に最近では少子高齢化に伴って、受講生の年齢も年々高くなっていく傾向があり、みなさん、老後のセカンドライフやロングステイ中のやりがいを求めて、この講座で学び、現地で日本語を教える糧とされる方が多くなってきています。
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