第二の人生で日本語教師に
Q.
日本語教師の求人を見ているのですが、年齢制限が書かれていないものがほとんどです。この業界は暗黙の了解のような年齢制限はあるのでしょうか。60歳台から第二の人生のセカンドキャリアとして目指すのは無謀でしょうか。60を待たずして50歳台から始めたほうが有利でしょうか?非常勤でも構いません。生活の最低限の足し程度になれば収入は多くは求めません。
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A. 日本語教師については、年齢は年々、気にしなくてもよくなってきています。確かに30歳代・40歳代くらいまでの人材を求めている求人が多いのも事実ですが、そうはいっても背に腹は代えられません。どこも人手不足なのが実状であり、以前に比べ、採用に際しての年齢制限というのは緩和されており、ご年配の方でも有資格者であれば採用されやすくなってきています。
シニアが求められる理由
(1)少子高齢化で人手不足
日本は少子高齢化で、向こう数十年、この傾向が続きます。他の業種同様、その人口比率がそのまま日本語教師という職業にも当てはまり、現状、勤めている教員の20-30%ぐらいはすでに60歳以上の方々が占めてきています。
ちなみに週刊朝日の記事によりますと、東京・高田馬場にある日本語学校では、
約60人の先生のうち65歳以上が13人いる。60歳を過ぎてからなった人も少なくない。
https://dot.asahi.com/wa/2017081700018.html
とのことです。この学校では13÷60=約21%ですが、勤めている日本語教員の3人に1人、つまり33%以上が60歳以上である、という日本語学校はすでに珍しくありません。
(2)若者が参入しづらい職業
やりがいはありますが、日本語教師は賃金が低い職種であり、若者の成り手が少ない/若者がなっても生計が立てられず、すぐに辞めてしまう職種です。憧れだけでこの仕事に就いた若者の離職率は非常に高くなっています。
よって、人生・社会の酸いも甘いもある程度理解し、生活基盤もある程度確保されている主婦の方や、それほど多くの収入を必要としないご年配(シニア)の方々に適した職ということになります。
(3)外国人の代替がきかない
現在日本では、少子高齢化の労働力不足を外国人労働者で代替しようという動きが顕著ですが、この日本語教師という仕事に限っては、日本語が母語者であることが強く求められていますので、日本人でなければ務まりにくい仕事でもあります。そのため、外国人では代わりが利かないため、日本人が優先される傾向があります。
資格にも高齢化が顕著に
以上のことから、シニアの方々のこの仕事の成り手は年々増えており、そのことは日本語教師の有資格者とみなされる日本語教育能力検定試験の受験者にも顕著に表れています。(下図参照)
全科目受験者 年代別比 推移(http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm)-財団法人 日本国際教育協会
上のグラフを見てもかなり明らかですが、50歳以上の日本語教育能力検定試験の受験者が占める割合は年々増加の一途であり、今では4割を超え、つまり受験者の約5人に2人以上が50歳以上を占める程に至りました。
有資格者とみなされるのは、
- この検定合格者か、
- (四大卒+)420時間の日本語教師養成講座修了者* か、
- 大学で日本語教育を主/副専攻者
の3つのうちどれか1つに該当することが求められることが多いですが、2の420時間講座受講生も、年々、ご年配の方々が増えていっており、その割合は、やはり検定受験者と同程度、つまり420時間講座の受講生3人に1人くらいが50歳以上のスクールは普通となってきています。
そのため、どこのスクールも「いくつになっても目指せる職業」といった類の謳い文句で日本語教師養成講座への勧誘をおこなっているわけです。
*・・・法務省告示機関では(四大卒+文化庁届出受理の)420時間の日本語教師養成講座修了者
以上から、50歳だから、60歳だから、という理由で日本語教師になることを躊躇する必要はまったくなくなってきている、そんな時代です。
だからといってすべてが順風満帆、不安材料がまったくない・・・わけではありませんので、こちらの60歳から日本語教師になる場合の注意点にあるような点などを注意していかれるとよいでしょう。
83歳がネットで日本語を教える
先日、NHK 「これでわかった!世界のいま」にて、83歳の日本人女性が、日本国内の入居する高齢者施設から、インターネットのTV通話機能を使って、タイにいる男性と日常会話をしながら日本語を教えているシーンが放映されていました。
60歳台、70歳台にとどまらず、「人生100年時代」、生涯現役で日本語を教えることが自然になってきていると言えます。
日本語教師養成講座も高齢化の傾向
弊社の日本語教師養成講座の受講生の平均年齢も、年々、高くなりつつある傾向があります。以下のような受講動機も寄せられています。
シニアボランティア志望
JICAのシニアボランティアの資格に必要ですが今68歳なので6カ月しか時間がありません。9月末までには修了証書が必要です。宜しくお願いします。(徳島県ご在住の68歳男性)
海外に長く住みたい
台北に3年半停留ビザで居住しています。日本語教師として就職し、就業ビザに変更したいので。(台湾ご在住の74歳女性)
リタイア後の第2の人生を日本語教師としてやっていきたい
退職後に東南アジアや中央アジアで日本語教師をしたいと思います。10年前に、ある学校で初級コースを修了したのですが、潰れてしまいその認定証が有効なのかわかりません。仕事をしながら1年でできるのかが、少し不安です。でも挑戦してみたいと思います。(静岡ご在住の54歳女性)
など、たくさんの受講動機をお寄せいただいています。続きはこちら、
にてご覧いただけます。
退職後や第二の人生の生きがいとして、日本語教育の道を選ばれる方も多いようです。
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