Q.基地で働くには特殊な資格や能力は必要か?
Q. 日本国内各地にある在日米軍(アメリカ軍)基地でも日本語教師として働けると聞いたことがあるのですが、基地勤務の日本語教師は何か特殊な資格や能力など必要なのでしょうか。
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A. 過去の米軍基地からの日本語教師の求人情報をみたところ、「日本語教師採用の際に求められる一般的な条件」と同じような感じですが、比較的「緩やか」とも言えます。
米軍基地で求められることが多い日本語教師の採用条件(応募資格)
概ね、以下のような条件が求められていることが多いです。
- 日本語母語話者
- 四大卒
- 日本語教師有資格者
- 大学で日本語教育を専攻
- 日本語教師養成講座修了(但し、米軍基地は法務省告示機関ではないため、「文化庁認定の420時間講座」でなければならない、という規定はありません。)
- 日本語教育能力検定試験合格については効果が薄い(求められていることが少ない)
- 日本語教師として経験数年(2年以上が多い)
- 英語ができること(英語力はほぼ必須。英語で日本語を教えた経験があれば尚良し)
米軍基地ならではの採用条件の特徴
「一般的な条件」と違うところは以下の点です。
違う点
- 「日本語教師有資格者」については、米軍基地は、法務省告示機関(在留資格「留学」が付与される留学生を受け入れることが可能な日本語教育機関)ではありませんので、必ずしも「文化庁認定の420時間講座」でなければならない、という規定はありません。また「実際に教えるスキル」が求められていますので、ペーパー試験である日本語教育能力検定試験合格の効力は薄いです。
- 英語力が求められている点
英語力については、それなりに高い英語力が求められる傾向があります。
米軍基地の求人に限らず、日本国内であっても、外資系企業出向などの日本語教師には英語力が求められることが多く、特に欧米圏の日本語学習者には、通常、英語で日本語を教える間接法で教えるのが一般的ですので、間接法教授にも長けていることが米軍基地就職の際のポイントにもなります。
米軍基地勤務の過去の求人情報(採用条件)の具体例
2012年 横須賀基地の日本語教師の求人一例
- 募集職種:「日本文化、日本語教師職」:1名/基地内での職位「一般従業員」
- 応募条件(学歴・資格等)
- 日本語教育関連分野における専門的実務経験1年以上または関連分野で修士号取得以上
- 日本の文化(そろばん・折り紙など)に関する技能
- 日本の書籍・雑誌などを英訳する技能
- 教員免許
- 上級の英語力(TOEIC730点以上または同等)
- 勤務条件:週5日40時間(月~金7:00~15:45)、週休2日(土日)、米国の祝日
- 待遇(給料・支給物等) :月給244,860円、通勤手当:月額最高55,000円まで/再雇用制度有
2017年 佐世保・横須賀海軍基地の求人一例
- 応募資格・採用条件(学歴・経験等)
- 4年制大学卒業、学士号取得者
- 日本語講師経験あり
- 英語で会話ができる方
- 勤務条件:パートタイム講師、平日9:00頃~21:00頃、1時間や1.5時間の授業など
- 待遇(給料・支給物等):一時間25ドル
2018年 横須賀/厚木/岩国/佐世保/沖縄基地の求人一例
- 応募資格
- 四大卒以上
- 英会話力(ビジネスレベル)TOEIC700点以上が望ましい
- 日本語教師有資格者(検定合格/420時間講座修了/大学で専攻)
- 待遇(給料・支給物等):25USドル/時給~
2020年 横須賀基地「戦艦上(艦内)」で教える日本語教師募集例
- 期間:約3ヶ月間、米海軍兵士に帯同し戦艦上(艦内)に勤務(住み込み)
- 応募資格・勤務条件等
- 数ヶ月、家を離れ艦内にて生活できること(自宅からの通勤不可)
- 数ヶ月、館内の狭い環境や狭く険しい階段の昇降などに耐えられること
- 2年以上の日本語教師(日本語教育)経験
- 基礎的な英語を話せること(英語で日本語を教えた経験があれば尚良し)
- 日本語だけでなく、日本文化や習慣、マナーなども教授すること
- マンツーマンまたは10人以下のクラスで、週に30時間以下の授業
- 使用教材:Japanese for Busy People I&II
2021年 横須賀基地勤務の日本語教師募集例
応募資格・勤務条件等
- 日本語母語話者
- 2年以上の成人に対する日本語教育の経験者
- 基礎的な英語を話せる者(英語で日本語を教えた経験があると尚良し)
- グループレッスン(オンラインではなく対面式)
2024年 横須賀基地勤務の「日本語文化研修講師」募集例
- 応募資格
- 学士号
- 少なくとも一つの文化の分野(茶道、着物の着付けなど)の指導資格、あるいは専門的な訓練と資格を有すること。
- 英語で日本文化を教えた経験。
- 軍隊の習慣、生活様式、慣行手順、専門用語の知識があれば望ましい。
- 英語と日本語の両方で円滑に会話ができ、両言語間の翻訳が可能であること。
- 年齢不問
- 勤務日程:1日に4時間の文化講座を週に2回(例:月曜と水曜日または木曜日)
- 職務内容:
- 具体的な指導:日本人のマナーや生活習慣を理解できるよう、生徒の興味やニーズに合わせて指導する。レッスンは、歴史、習慣、エチケット、行政、ショッピング、祝日、芸術、宗教、娯楽など、日本文化のさまざまな側面に焦点をあてたものにする。
- マルチメディアをした指導:視聴覚映像やパワーポイントを使った魅力的なレッスンを開発し、提供する。
- 異文化理解のためのオリエンテーションと説明会:監察官や予備役などの訪日グループ向けの特別な異文化理解のためのオリエンテーションを開発し、実施する。
- その他支援サービス:書類の翻訳、パスポート申請などで生徒や配偶者を支援する。
Q. 年齢制限などはあるのでしょうか。
A. はい。
米軍基地勤務の場合、日米政府間で締結された労務提供契約に基づき雇用されますので、60歳定年制が適用されます。そのため、求人応募の年齢制限は59歳までとなります。
また、各求人によって個別の応募資格・採用条件を課している場合がありますので、各々の求人情報の記載条件をご確認ください。
Q. 基地勤務の求人はどうやって探せばよいか?
A. 例えば、こちらの「米軍基地の日本語教師の求人情報」にて一般公募されている求人に応募する、ということもできます。
また、「独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構」がそのホームページ上および地域のハローワーク(公共職業安定所)に求人を出し、公募しています。
該当機関のホームページは、
- こちらの日本語教師・教職の求人情報サイト一覧 メルマガ集内の「独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構」をクリック。
↓
- 開いたページの「募集情報一覧はこちら」をクリック
↓ - そうすると以下のように基地別に、
- 三沢支部(青森県三沢市)
- 横田支部(東京都昭島市)
- 横須賀支部(神奈川県横須賀市)
- 座間支部(神奈川県座間市)
- 岩国支部(山口県岩国市)
- 佐世保支部(長崎県佐世保市)
との 項目が表示され、基地内のいろいろな職種を一覧表で確認できるようになっています。時期にもよりますが、横須賀基地が一番、募集案件が多いように見受けられます。
上記の「独立行政法人 駐留軍等労働者労務管理機構」の求人のホームページから、応募の必要書類の1つ、「在日米海軍指定の空席応募用紙」:英語で記入/APPLICATION FOR USARJ VACANCIES(NON-USFJ EMPLOYEES などがダウンロードできるようになっています。
Q. どの米軍基地勤務が人気がありますか?
A. 米軍基地勤務の日本語教師職自体が基本的に人気があり、どの基地も求人公開後は応募や問合せが殺到するようです。
その中であえて強いていうならば、都市部からアクセスしやすい場所にある基地、例えば横須賀や厚木、横田基地などから順に応募が多く、採用が決定していく傾向がありますので、働いてみたい方は、求人をみかけたら早めに応募されることを推奨いたします。
また、逆に言えば、地方の米軍基地ほど、求人応募の競争倍率が低くなるということです。例えば、沖縄の嘉手納基地などは沖縄在住者または沖縄に赴任できる人限定となりますので、それだけ倍率は低くなります。どうしても日本語教師として働きたい、実績・経験を積みたい、という方は、選り好みせず、ローカルの勤務先を当たっていくこともキャリアアップの一手でもあります。
一時的でも地方にて日本語教師としての実績を積んでいけば、経験が一番重視される日本語教師の業界において、将来、様々な場所にて、日本語教師として採用される可能性がより高くなります。とりあえず最初のうちは、場所や条件の選り好みをせず、何らかの形でとにかく経験年数を積んでいくことを推奨いたします。
Q.英語で教えるスキルを身に付けるには
Q. 日本の日本語教師養成コースや学校では英語で教える間接法を習えるところがないようですが、習得するのによい手立てはありますでしょうか?
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A. 日本の一般の本屋さんなどで売られている日本語教師用指導書 Japanese for Busy Peopleなどで独学することもできます。
これらテキストでは内容的に不十分な場合は、相応の学習量がある、文化庁の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」のシラバスに基づいた、こちらの英語で教える間接法も学べる通信の日本語教師養成講座 420時間も、長年、欧米圏での日本語教師育成に定評と実績がありますので、受講して備えておくのもよいでしょう。これまでも基地内ご在住者や、米軍基地関係者の配偶者の方などが何名か受講されています。
米軍基地内で日本語教師養成講座を受講する
Q. その日本語教師養成420時間の通信講座を受講したいのですが、教材は海外からの発送でしょうか?日本国内から発送の場合、宅急便等の営業所留めは可能でしょうか?日本国内の米軍基地に居住しているのですが、基地内での受け取りにすると、受け取りまでにかなりの時間がかかってしまいます。
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A. 当日本語教師養成講座の教材はEMS郵便で発送いたします。民間の宅急便ではないので、「宅急便等の営業所留め」はその最寄りの営業所にご自身で確認していただかないとわかりかねますが、郵便局の局留め等は可能かと存じますので、こちらもご自身で局留めされたい郵便局にお尋ねください。こちらはご指定の住所に送付するだけです。EMSですので、トラッキング番号にて発送中も追跡可能です。
ちなみに、これまでも米軍基地内ご在住の受講生はいらっしゃいますが、皆さん、基地内のお住まいにて普通に受領されていらっしゃいます。
送付先アドレスは、一例として、AA県BB市CC町官有地 米海兵隊DD航空基地内 BUILDING NO.xxx, ROOM xxx, Ms. xxx xxx C/O Mr. yyy yyy などと頂戴しておりました。
教材が届かなかった、ということはこれまでございません。「420時間総合講座」の場合は、教材送付は最初の1回で完了します。後はEメールでのワークシート授受となり、最後に修了証は郵送にて送付いたします。初回の送付料等はすべて受講料に含まれておりますので、追加料金等は頂戴しておりません。
受講料の詳細はこちら日本語教師養成講座費用 420時間 円換算価格表の「クレジットカード払いの場合」の項目をご参照ください。
こちらの仮申込(見積依頼)のフォームを送信いただければ、折り返し、お支払い方法などの詳細をEメールにて返信さしあげます。