「フランスで日本語教師として働きたいんですけど….」
・・・というご質問を頂戴することがあります。
確かにフランスでは、柔道人口が日本の3倍であったり、歌舞伎や日本映画など、アート・文化的な側面から日本に関心を持っている人は少なからずいらっしゃいます。
しかし、そうした関心を持った人でも、高額な授業料を払ってまで日本語を学びたい、という日本語教師の需要につながるまではなかなか至らないのが実状であり、フランスに限らず欧米圏で日本語教師として有給で働くのは残念ながらかなり難しいものがあります。フランスで日本語教師として働くための簡単な概要を下記します。
フランスのどこで日本語教師になるか
フランス国内でも、まず「どこで日本語教師として働くか」にもよりますが、あいにくフランスでは日本語教育はそれほど盛んではないため、日本語教師の全体的な需要自体、少ないです。(日本語教育がさかんなオーストラリアやニュージーランドでも難しいことですので)フランスで日本語教師になるのもさらに難しいものがあります。
日本語教育関連の微々たる求人をみかけても、ほとんどがパートタイム(アルバイト)のテンポラリーで不安定なものであり、パートタイムではフランスの就労ビザを取得することは不可能ですので、日本語教師としての就労を「はるばる日本から目指す」というのはビザの障壁などの点からも、ほぼ実現不可能です。
また、それ以前に、フランスのパリなどの主要都市には現地在住の日本人がすでに非常にたくさんあふれていますので、現地での募集と雇用で間に合っており、そのため、フランスでの日本語教師の求人を、わざわざ日本にいる日本人対象に募集をかけることはほとんどありません。
ちなみに、フランスで日本語教育に携わる教師のほとんどは日本人である場合が多いですが、あくまで臨時の講師として教えている場合が多く、日本語教師単独で生計を立てるのは極めて難しいものがあります。
「どこで日本語教師として働くか」
1.フランスの公立・私立の初等・中等教育機関でなるには?
フランスの日本語教師の資格・採用方法
フランスの公立・私立校で日本人が教員として働くには、基本的にはフランス人と同様に、国家教員試験に合格し、CAPES:Certificat d’aptitude au professorat de l’enseignement du second degre(中等教育教員適正証書)を取得しなければなりません。
※フランスでの学生向け試験、教員向け試験、第3試験のいずれかに合格し、規則に沿った条件下で1年間の教育実習修了者に交付。実習期間と修士課程修了後にCAPESを取得すると、有資格教師になることができます。
しかし、マイナーな道ですが、フランスの公立の学校等でアシスタント教師などのボランティアやインターンなどの補助教員(maitre auxiliaire)としてすでに経験を積んでいる者を対象にした試験(CAPES reserve)もあります。まず一次選考として、フランス語のレポート提出による書類選考がおこなわれ、次にフランス語と日本語による面接をパスしなければなりません。その後、指定校で正規の授業をもちながらの1年間の研修期間を経て、フランス教育省日本語教育監督官の承認を得ることで、日本語教師になる課程もあります。
但し、CAPES reserve試験を受けるほどの実力をお持ちならば、正規の教員コースを取られたほうが近道なのが現状です。
日本人の日本語教師の採用
加えて、日本人=ネイティブ・スピーカーという理由だけではフランス人に比べて、より日本語教師として採用されやすいということにはなりません。むしろ、言葉(フランス語)の問題やフランスでの初等・中等教育を受けていないことを理由にどちらかと言えば、フランス人より不利な立場になる傾向があります。
2.フランスの大学など高等教育機関でなるには
フランスでは日本語教師や日本語教育専門学習者を養成する機関がほとんどありませんので、大学で日本語を教えている方々のほとんどは、日本の大学で日本語教育関連の学位(修士号)を取得した日本人や、日本の大学で日本語教育関連を学んだ後、フランスの大学で言語学や教育学の学位を取得した日本人の教授が多いです。
また、これはフランスに限らず、海外のどの大学に勤務する場合にも共通の点ですが、大学勤務の場合、「日本語を教えるための日本語教師として就職」ではなく、日本文学や日本の芸術など何か日本についての唯一無比の専門分野での専攻や造詣が深い専門家が、その功績を認められ大学に講師とし採用が決まり、「その傍ら、週に1,2度程度、日本語も教えている」というケースが多いのも大学での日本語教師の実状です。「日本語が先か」「その他専門分野が先か」となると、専門分野のほうが先であり、「日本語を教えること」はあくまで「オマケ」であることが多く、大学勤務の日本語教師になることは非常に難しいものがあります。
3.フランスの民間の語学学校でなるには
特に規定はありませんが、「すでにフランスに居住している人」「フランスで就労できる適正なビザ保有者」を対象として、以下のいずれかの資格に加えて、「経験」と「語学力」を求めている場合が多いようです。
そのため、以下の日本語教師養成講座を受講するなどして、日本語を教えるノウハウを得たり、就職の際の資格証明として活用するフランス在住者などもいらっしゃいます。
また、日本語教師とは若干異なりますが、下記のような日本語補習校や日系の教育機関などでも日本人以外の国籍を持つ子どもたちが学習している国際部などがあり、日本語教師と同等の活動ができる場合があります。
その他 フランス関連Q&A
フランスで日本語教師養成講座を受講できないか?
Q. フランスに住んでいます。こちらでフランス人の友人らを始め、地域のコミュニティで日本語を教えていますが、我流で教えているため、限界を感じています。将来は日本語教師としてきちんとやっていきたいため、専門的な日本語教授法がフランスで勉強できる講座を探していますが、フランスでも受講できるお勧めの日本語教師資格講座などはありますでしょうか。
↓
A. はい、こちらの日本語教師養成講座420時間はフランスでも役立つ、外国語を媒介として日本語を教える間接法も学習できる講座で、併せて学ぶ「日本語で日本語を教える直接法」と組み合わせて教えれば、より効果的な学習効果を期待できるでしょう。
欧州からはフランスとイギリスからの受講生が特に多く、次いでドイツに受講生が多く誕生しています。
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ちなみにフランスにて、または仏関連で受講される方は、以下のような受講動機をお持ちのようです。
20歳台
海外移住に備えて
旦那がフランス人で、現在日本に住んでいるのですが、もし外国に住むことになっても何か働けるように日本語教師の資格をとりたいと考えています。ある程度英語が話せるので、英語でも日本語を教える事ができたらいいなと思っています。正社員で働いていて、学校に行くことは難しいので、通信で勉強したいです。(東京ご在住の27歳女性)
日本一時帰国を利用する
現在一時帰国中ですので、日本円でお支払いし、フランスに帰国後、学習を開始したいと思っています。(モンペリエご在住の29歳女性)
実践的ですぐ役に立つ内容でした(講座修了感想文)
楽しかったですね。日本語教授法はもとより、いつも先生の幅広い知識に感心しました。
英語を使ったバイリンガルメソッドのテキストも講師の説明もわかりやすく、なるほどと思う事ばかりでした。他校の養成講座と並行しての受講でしたが、長期で理論中心の授業と違い、実践的ですぐ役に立つ内容だったと思います。
(Yoshiko M.さん、パリご在住の29歳女性)
30歳台
教えることになったので
ただいま南仏の田舎の方に住んでいる者です。今度ある機関で日本語を教えることになるかもしれない状況になりまして、これまで仕事としてちゃんと教えた事がないので少し不安に思っている所、こちらの通信講座を見つけました。通信講座を受けながら、日本語を教えること(始まるとすれば来年の1月です)になりそうです。(サンタナスタジーご在住の33歳女性)
専門的に学んだことがないので
フランス在住で、カルチャーセンターで日本語を教えています。ただ日本語教育を専門的に学んだことがないので、しっかり学習したいと思い、420時間の通信講座を受講したいと考えました。(Martin d’Heresご在住の36歳女性)
フランスにいる時間を有効活用したい
来年の春〜夏まで、私はフランスに滞在予定です。その間に、日本語教師養成420時間総合講座を開始したいと考えています。よろしくお願いします。(Nice/ニースご在住の39歳女性)
40歳台
スキルアップをマイペースで
フランス在住で、地元のカルチャーセンターで日本語初心者教室をやらせていただいています。生徒のレベルが上がってきたので、本格的に日本語教育について勉強し、資格も取りたいと思っています。子どもが3人いるので、無理なくできる範囲で勉強を進めていきたいと願っています。(Saint-Romain-le-Noble/サンロマンルノーブルご在住の40歳女性)
国際結婚と転勤を機に
フランス人と結婚し、ニューカレドニアから今年の9月にフランスのパリへ転勤になります。パリで日本語を現地の方々に教えることができたら、と思いこの講座を受けてみようと思いました。フランス語は中級。英語は英検2級で、日常会話は大丈夫です。スペイン語は上級です。フランスの事情は少し耳にしております。なかなか就職は難しいとのことですが、希望を持って外国の方々に教えられるように勉強したいと思っています。(ニューカレドニアご在住の41歳女性)
若い頃に憧れた職業を目指す
フランスに移住して丸5年が経ち、仕事を探しているのですが、なかなか思うようには見つからず、若い頃に憧れた日本語教師になることを考え直しています。すべて通信での受講を考えていますが、こういった講座を受けたことが無いため、自学で内容について行けるのか少し不安ですが、よろしくお願いいたします。(トゥールご在住の41歳女性)
子育ての傍ら
最近日本語を知り合いのフランス人の高校生に教え始めました。まだ家に小さい子がおりなかなか自分の時間がとれない状況なのですが、ゆっくり少しずつでも勉強を進めたいと思い受講を決意しました。よろしくお願いいたします。(Toulouse/トゥールーズご在住の41歳女性)
就職につなげたい
ずっと海外に永住したいと思うだけで何もしていなかったので、海外での就職に繋げるために出来ることを少しずつしていきたいと思ったからです。(リールご在住の42歳女性)
仏生活の次なるステップアップへつなげたい
フランス在住15年になります。数年前までフランスのカルチャーセンターで日本語を教えていましたが、レベルが上がるにつれ我流の教え方に限界を感じ、現在は翻訳業をメインにフリーランサーとして活動しています。前から日本語教師養成講座を受けたいと思っていたのですが、なかなか決心がつかず数年が経ってしまいました。今回、講座を始めることで日本語教授法(特に間接法)を学び、母語である日本語と客観的かつ論理的に向き合って、フランス生活での次なるステップアップに結びつけれたらと思っています。(Mayetご在住の43歳女性)
スキル向上のため
フランスで日本語教師をしていますがスキル向上のため受講を希望しています。すでに他の通信を受講し、日本語教師として実際に働いておりますが、もう少し勉強したいので。(Parisご在住の43歳女性)
教えたことがないので
こちらで友人が開校する語学学校で「日本語教師をやってくれないか」と打診されました。特に公的な資格等は不要なのですが、日本語を教えた事がないので、実践的な指導方法等を学びたいと思い、こちらの通信総合講座を希望しました。(Salon-de-Provenceご在住の44歳女性)
手に職をつけたい
20年勤めた会社を辞めて昨年より海外に在住しており、手に職をつけたいと日本語教師講座を考えました。通学は物理的に厳しい為、全て通信講座で進めたいと思っています。(Rueil-Malmaison/リュエイ=マルメゾンご在住の44歳女性)
日本人のアイデンティティをいかして働きたい
現在フランスに在住です。日本では20年ほど企業に勤務していましたが現在無職であり、日本人のアイデンティティを活かし、かつフレキシブルに働くことができる日本語教師に興味があり、申込をさせていただきました。(Vaucresson/ボークレッソンご在住の44歳女性)
我流に限界を感じて
現在フランス在住で、日本語教師のアルバイトを始めて約2年過ぎましたが、我流の限界を感じて今回受講を考えるに至りました。(デュドヴィルご在住の48歳女性)
教える楽しさに目覚めた
資格と言えるものではありませんが、英語、フランス語の日常会話に不自由はありません。文章も読む方は(8歳レベル程度の小説であれば難なく読破できる程度です)公式文章や新聞等は内容によりますが、ザックリと理解はできます。内容によって専門用語や医療用語など日常で使用しない単語や表現が多いものに関しては辞書を要します。書く方は特にフランス語に関しては苦手です。書道 準師範です。
最近、娘の通うフランスの中学校で日本語の補修授業の補佐をし始めたところ、教える楽しさに目覚めました。せっかく教える機会があるのなら、きちんとした教授法を知識として習得できたらと思いました。短大卒(英文科)で、教員資格を取得しなかったことを今更ながらに悔やむ気持ちも後押しして、きちんと他者に認めてもらえる日本語教師としての資質の目安になる証明が欲しいと思っています。受講後は、いずれタイミングを見て日本語教育能力検定試験も受けたいと思っています。(パリご在住の48歳女性)
フランスでの需要の高まりに応じて
フランスに25年在住しています。現地で日本語学習の意欲のある若者が増えており、日本語教師への転職を考えています。まず420時間の総合講座で基礎を身に付けたいと思います。(Cergyご在住の49歳女性)
50歳台
正式に勉強したい
パリにあるInstituteで2週間の日本語教師養成講座を受講し、修了証書を頂きました。プライベートで、時々、日本語を教えていますが、正式に、勉強したくなりました。(パリご在住の52歳女性)
たくさんの人に日本を好きになってほしい
我流でフランスの学生に日本語を教えた経験があります。沢山の人に日本を好きになって欲しいと思っています。定年前に日本に帰国する予定があり、オンラインで日本語を教えられる準備をしておきたいと思っています。(Orne/オルヌ県ご在住の52歳女性)
ピンチをチャンスに、ポジティブに
フランスは今日から、また全国でほぼロックダウンが始まりました。そんな中、御講座を受ける決心をしたのは、このピンチを少しでもチャンスに変えたかったからです。ポジティブに、勉強する時間を与えられたと考えるようにしています。
数年前から、フランス人に日本語を教える機会を得るようになりました。学士は持っていませんが、この講座を受けてフランスで日本語講師としての活動を続けたいと思います。(La Neuve-Lyre/ラ・ヌーヴ=リルご在住の56歳女性)
好きなことを仕事にしたい(オンライン日本語教師)
最近はネットを使って教えることも出来るようになりましたので、今後の可能性に期待しつつ、好きな教える仕事をしたいと思い、申し込みをさせて頂こうと思います。(Les Lilas/レ・リラご在住の57歳女性)
みなさん、いろいろな用途に日本語教師養成講座を活用していらっしゃるようです。