日本語教育能力検定の受験者の体験談をご紹介します。
(※写真含め、実際の受験者から寄稿いただいたものを了承を得て、掲載しております。)
検定試験当日
台風の中、平成29年度日本語教育能力検定を初受験しました。
受験勉強中から試験の難しさは感じていましたが、実際受験してみると想像以上にハードな試験でした。試験I~試験IIIまで、休み時間も入れて朝の9時から16時40分までの長丁場。
実際の試験では、試験時間と解答作業のハードさのみならず、長時間の試験場の緊張した雰囲気にも影響を受けるので、しっかりと受験勉強をして準備していないと上位20~25%に入るのはかなり難しいだろうなと感じました。
試験場の雰囲気/休み時間
開場前
8時40分頃、試験会場に到着。9時から開場なので試験場には入れませんが、廊下で立ったまま必死でテキスト片手に復習している人がたくさんいました。
9時に開場、着席するとほとんどの人が開始直前までテキストをチェック。
- ヒューマンアカデミーの完全攻略ガイド
- アルクの合格するための基礎知識50
- 合格するための本
- 独自でまとめたノート
- その他のや問題集や受講講座のプリントらしきもの
をそれぞれに持参して勉強していました。(受験生はテキスト持参のせいか皆さん割と大きな荷物。)
周りで勉強している受験生は誰しも自分より勉強が出来る人に見えて、早くもその空気に呑まれそうになりましたが、周りを見ても仕方ないと思い、私も持参したテキストで復習をしました。後から考えれば、直前の自習時間は気休めでしかありませんが、休み時間は長いので、テキストか何かは持っていたほうがいいと思います。
休み時間
各試験間の休み時間も試験会場内は直前まで自習している人たちで緊張した雰囲気。廊下に出ると少し和やかな空気で、知り合い同士試験の手応えをおしゃべりしている人も見受けられました。
休み時間に「私も難しかった。」と他の受験生の声を聞いて、少しだけ不安を解消して次の試験に臨みたい人は、休み時間に廊下に出るとよいかもしれません。私は長時間同じ場所に座っていると体が固まって、頭が働かなくなりそうだったので、休み時間は外の空気が吸える場所に出て、ストレッチをしていました。同じように休み時間を過ごしている人もたくさんいました。
台風のせいもあったのか、空席が多かったことに驚きました。試験会場45人くらい入る教室で10人以上は欠席だったようです。
試験について
過去問を解いた時には、私は試験Iの方が試験IIIよりも難しく感じたのですが、今回の試験では試験IIIの方がやさしく感じました。試験IIIの方が難しいという思い込みがあったせいと、長時間試験場にいることで空気に慣れてきたというのもあったかもしれません。(実際の正解率、手応えがよかったとは言えませんが。)
試験I,II,IIIとも、問題を解き進むうちにいい流れができて集中力が出てきたのですが、各パートとも最初の問題1は周りの空気に呑まれて落ち着いて解けなかった気がします。(試験Iについては、時間が余ったので問題1に戻って見直す時間ができました。)
家で過去問を解いていた時から、最初の問題の正答率が低い傾向があったので、「問題1と問題2ができないと思ってもへこむな!後にひきずるな!」と自分に言い聞かせていました。聴解問題以外は引きずることなく先の問題に進むことができました。(聴解については後述します。)
試験IIIは記述問題に自信がなかったので、マークシート問題を解く前に記述問題を先に読んで、作文の方向性をある程度決めてからマークシート問題にとりかかりました。周りには試験開始と同時に記述問題の下書きをカリカリと書いている人がいて多少焦りましたが、マークシート問題を解く時間も確実に確保したかったので、自分はこの流れで解答してよかったと思います。(記述問題はどのタイミングで解くか考えておくとよいです。)
試験対策でやっておいてよかったこと
3年分の過去問題集を繰り返しやったことと時間対策。過去問題集に挑戦した初回は低すぎる正答率に受験は無謀だと思いましたが、間違った問題を見直して一つひとつ解明し、回数を重ねる度に新しい発見があり、徐々に自信が持てるようになっていきました。繰り返し解くことで、解答テクニックと言うか解き方のコツがわかってきたので、少しずつ自信がついていきました。初めはさっぱりわからなくて全滅だったとしても、早めに過去問に取り掛かることがお勧めです。
試験の一週間前から、
- 過去問題集を時間制限よりも短時間内に解く
- 一日で試験Ⅰ~試験Ⅲの一回分の過去問題をやりきる
という練習をしました。
制限時間については、
- 過去問は1回以上解いた既に知っている問題であること
- 試験当日は想定以上に解答に時間がかかると思われること
から、規定の制限時間よりも短い時間で解く練習をしました。
- 試験Iは50~60分内(実際の制限時間は90分)
- 試験IIIは50分内(記述抜き/実際の制限時間は記述時間を30分すると90分)
という短時間で解答する練習をしていたおかげで、当日の時間配分については完璧だったと思います。
試験Iは10分程度見直しの時間が余り、試験Ⅲは見直しの時間までは余りませんでしたが、40分間じっくりと記述問題に時間を割くことができました。
試験I~試験IIIを1日で通すことは想像以上に知力とともに体力を使うので、ものすごく疲れます。多量の問題を一日短時間で解答する体力を事前につけておくことは大切だと思いました。
もう少しやっておけばよかったと思うこと
聴解問題と記述問題対策です。聴解問題は苦手意識があったので、かなり時間をかけて準備をしたつもりでしたが、当日の教室の空気に呑まれた感じがありました。
また、マークシートにマークしながら解答する練習をしていなかったので、手間取り焦ってしまいました。問題1のアクセントの高低の問題がもともと苦手だったのですが、もっと聞き込んで練習しておくべきでした。
問題Ⅰのマークが間に合わなかったので、問題用紙に丸をつけて、後の問題の空き時間にマークしたのですが、その焦りが後の問題にも響いてしまったように思います。実際にマークシートを塗りながら回答する練習も必要でした。
記述問題は参考書をよく読んで書き方を勉強していましたが、短時間で書く練習をもっとしておけば、解答見直しに時間がとれたかもしれません。
マークシートについては、過去問で出題が多い文法や教授法に時間を多く取り、歴史事項の暗記にあまり時間を割かなかったので、覚えていればすんなり解答できたはずの問題をおそらく取りこぼしてしまったのがもったいなかったと思います。
試験を終わってみて
合格できたという手応えはないので、あれをもう少しやっておけばと考えていけばきりがありませんが、自分なりに試行錯誤しながら、試験前にやれることは悔いなくやったつもりなので大きな達成感はあります。独学で今回は挑戦しましたが、試行錯誤しながら独学で挑戦するにはなかなか大変な試験であると感じました。
今年の1月から勉強を始め、最初はテキストを読んでも過去問を解いても、意味がさっぱりわからなかったことを考えれば、ずいぶん進歩したとは思いますが、まだまだ足りない部分はあったと思います。試験直前は「もう来年は受験したくないから、勉強するしかない。」とマイナスな動機で勉強していたので、もう一歩壁を乗り越えて問題を解くのが面白い域に達していたら、もう少し合格の手応えを得られたかもしれません。
12月によい通知が来ればよいですが、合格点に満たなかったとしても、新しい発見はたくさんあったので、大きな挑戦をしてみてよかったと思います。
→詳細:独学10ヶ月での合格体験記・・・ペースや心構え、参考書など独学のご参考に
その他関連記事
- 海外にて検定願書を入手する方法・・・願書は海外にいながら入手することは可能です
- 日本語教育能力検定試験とは・・・検定概要や合格率、海外で受験できるか?など
- 検定申込から合格・不合格まで・・・実際の応募書類(願書)や注意点など