当ページでは、420時間を中心に、講座選びの際にポイントとなる特徴や費用などをまとめてあります。みなさんのライフスタイルに合ったものをお選びになる際のご参考にしてください。
【追記】
当ページでは2008年から主要な講座をリスト化し、文化庁の届出受理制が始まった2017年からは「*」印を付加する形にしましたが、昔からある主要な講座はほぼすべて認定され、当ページのリストも届出受理制が始まる前と、結局、ほとんど変わらないものにもどりました(むしろ増えました)。
当初こそ、文化庁の追加更新は数ヶ月に1回程度ありましたが、現在は新規登録にそれほど大きな動きはなく、文化庁認定講座はほぼ出揃った感があります。
むしろ最近は供給過多の様相も帯びてきました。認定講座でも対外的に内容や運営状況、実績が不明瞭なものがあり、今後、文化庁認定講座も淘汰が進んでいくものと思われます。
実際、文化庁届出受理の講座であっても、すでに【廃止機関】として処理されたもの(消滅)や、【募集休止中】となって、現在は運営されていない講座も出てきています。
注釈
- 以下は令和4年(2022年)9月9日現在 の文化庁発表情報に基づく。
- 「* 印」・・・文化庁認定(届出受理)講座。同校内でもコースにより認定/非認定がある場合があります。
- 「通信」と文化庁のリストに表記された届出受理講座がありますが、これは前半の座学が通信(eラーニング)というだけで、後半の実習は2,3ヶ月程度以上、「通学」しなければならないものです。全課程「通信」の文化庁認定講座はありません。
- 下記記載の講座詳細や費用は運営機関都合により変更が生じている場合もありますので(例:一時的なキャンペーン割引実施など)、予めご了承の上、あくまで参考程度にご覧いただければ幸いです。
【目次】全国・世界|北日本|関東|東海・中部|関西・近畿|中国・四国・九州|ポイント
日本全国/世界/場所不問
通学-日本各地 | |
---|---|
*ヒューマンアカデミー ▲無料説明会・資料請求 *通信(eラーニング)もあり | 国内通学(北海道~本州・四国・沖縄・・全国主要都市にて開講): 総合講座681,000円他、海外就職実践講座、検定直前対策など。給付金対象,教育ローンや子育てママ支援割引あり(詳細は左記リンク参照)。 |
通信教育 | |
大手前大学 通信教育部 日本語教員養成課程 | 370,000円,法務省の告示基準(新基準)に対応したカリキュラム。受講形式はe-Learning・説明会・国内5地点でスクーリング有。 |
WJLC (World Japanese Language Centre) ▲講座詳細 | 世界のどこからでも受講できる通信教育420時間 全課程通信で受講料約15万円。1986年創立、修了生8800名超の老舗。直接法と間接法の両方を学ぶ。世界83ヶ国、国内47都道府県に受講生誕生。国家資格(登録日本語教員)筆記試験対策やオンラインでの教え方も含む。 |
NAFL日本語教師養成プログラム(アルク)▲講座詳細 | 検定試験対策に絞って勉強したい人にお勧め(通信)。非420時間,12ヶ月101,520円。NAFLとはNihongo As a Foreign Language(外国語としての日本語)の略。不合格なら10万円返金合格パック139800円など。 |
北日本
関東
東海・中部・北信越
関西・近畿
中国・四国
九州・沖縄
日本語教師養成講座えらびのポイント
1.420時間かどうか
日本語教師養成講座は、1週間の短期の基礎的講座から、2年近くかかるものまでいろいろありますが、採用の際には「420時間課程を修了したか?」が問われることが多いです。「420時間」とは、文化庁の「日本語教員養成において必要とされる教育内容」のシラバスに基づいた教育内容かどうか?ということです(法務省告示の日本語教育機関で働く場合は、さらに四大卒+文化庁認定講座かどうか、が問われます)。
よく、適性がわからず、とりあえず1,2週間モノの短期講座を受講され、結局は物足りなくて、「420時間の養成講座」を受講し直す、という方もいらっしゃいます。「大は小を兼ねる」ので、せっかくお金を払って受講されるからには、最初から「420時間」を学習できる講座をお勧めいたします。
2.どこで働くか?
日本語教師には国家資格はありませんが、講座修了後、「どこでどのように働きたいのか?」によっても適した講座が異なってきます。
法務省告示の日本語教育機関で働く場合
「法務省告示の日本語教育機関」(日本国内にて外国人生徒受入れに法務省管轄のビザ発給を要する日本国内の一部の機関;法務省告示校など)で働きたい場合には、法務省入国管理局が定めた「日本語教育機関の告示基準」(四大卒以上+文化庁認定講座であること)を満たしていることが求められています。この場合、四大卒以上でなければ、いくら420時間講座を修了しても資格とはなりません。)
上記以外(国内・海外)で働く場合
しかし、上記の「法務省告示の日本語教育機関」以外(例えば日本語スクールや語学学校、オンライン、企業出向派遣型、個人などや海外で教える場合など)で働く場合は資格は自由で、拘束する規定はなく、資格や採用条件等は雇用先の判断次第ですので、ご自分の目的や予算に合った講座を選ぶとよいでしょう。
3.日本語教育能力検定試験対策が含まれるか
最近では、「420時間修了」+「日本語教育能力検定合格」の両方を満たした日本語教師はあふれています。就職成就率を上げるためにも、せっかく420時間を履修されるのであれば、日本語教育能力検定対策も含んでいる講座を選ぶとよいでしょう。検定に合格すれば、学歴が四大卒に満たない人(中卒,高卒,専門学校卒,短大卒者など)でも、就職先の幅が広がります。
4.無理なく学習できるもの
全日制か夜間か?通学か通信か?国内か海外?期間や費用は?・・・など、ご自身がお住まいの立地条件や経済的な事情、お仕事などの関係で、受講できる養成講座も実際は非常に限られてくると思います。
420時間は通常、最短でも詰め込みフルタイムで3ヶ月、通常1年、長くて2年はかかり長丁場になります。思っている以上に大変です。どんなに有名でお高い講座であっても、途中でやめてしまったらすべてが水の泡です。これだけ変化の激しい時代です。受講途中に、健康を害して/親族に不幸があって/会社が倒産・リストラで分割受講料が払えなくなり・・・等々の環境変化で受講継続できなくなった、という人も多々いらっしゃいます。
背に腹は代えられませんので、まずは講座や講師の評判よりも物理的・地理的・経済的に無理なく通えるか、を判断基準の第一優先として、途中で挫折しないよう、ご自分のライフスタイルに合ったものを選ばれることをおすすめいたします。
5.実践的か
ただ単に座学でテキストだけのペーパー的な養成講座も少なからずあります。この仕事は「人が人を扱う仕事」ですので、実践を想定した、実践的な養成講座の選択を推奨します。採用の際に、検定合格よりも420時間講座修了者のほうが優遇される傾向があるのは、検定だと実技試験などがないためです。
よって、講座を受講する場合は、スクーリングなど実習研修があるに越したことはありませんし、実技研修も、アジア圏からの生徒だけ対象ではなく、欧米圏などより多国籍な生徒にも教えられる機会があるとよいでしょう。(ただ中には実習名目で、単に正規の教員代わりにこれらの養成講座学習生をあてがって安価な労働力を補う目的の日本語学校併設養成講座もあるので注意が必要です。)
通信教育の場合も、単に検定合格だけでなく、実際のスクーリング・実習研修風景などをバーチャルで体験できるものであると良いです。
ボランティアなどで実習部分を補う、という手もあります。
国内の求人でも、オンラインレッスンの増加などで「英語で教えられるスキル」を求める求人も増えてきていますので、直接法だけでなく、間接法もマスターしておくとよいかもしれません。
420時間講座は、「必須の教育内容」50項目の指針はありますが、各養成講座にそれぞれの特色がありますので、自己鍛錬も兼ねて複数の講座を受講される方もいらっしゃいます。日本語学習者も多様化しており、幅広いニーズに柔軟に対応できるスキルが求められています。
6.20年以上 運営されているか
毎年、雨後の筍のように新しい日本語教師養成講座が誕生しては消えていきます。一般的に、会社や組織は設立後「10年以内に94%が倒産もしくは解散する」と言われています。つまり、10年生存率は6%=10年以内にほとんどの組織は消えてしまう、ということです。せっかく受講してもその学校や講座がすぐに消滅してしまっては意味がありません。「先行者の優位性(先発優位性)」という言葉もあるように、長く運営されている講座には、それなりの存在理由と存在価値があり、そしてノウハウと実績を保持しているものです。単純に「長ければよい」というものでもありませんが、できれば20年以上運営し続けてきた講座を選ぶとよいでしょう。
7.その他
教育訓練給付金
対象講座や利用できる人は限られてしまいますが、ハローワークの教育訓練給付金制度対象の養成講座を履修する、という手もあります。しかし、失業者にはあまり日本語教師という職自体がお勧めではないのも現実ではあります。と言いますのも、こちらの日本語教師の給料でも年収など記している通り、日本国内においては常勤のフルタイム職に就ける可能性は低く、かけ出し教師はまずは非常勤(パート/アルバイト)でやっていくしかないからです。となると年収は50万~100万円程度で数年、やっていかないといけませんので、現実的に失業者が給付金制度を利用して講座を受講したとしても、はたして生計が立てられるか、は非常に疑問が残る部分ではあります。
就職サポート
講座によっては就職サポートをうたっていたり、就職サポートを過度に期待している日本語教師志望者もいますが、注意が必要です。まず、上述の通り、この仕事の雇用環境というのは非常に厳しいため、実質、万全の就職サポートというのは不可能です。
中には「抜群の就職率」をうたい高額な受講費用を徴収しながら、終了後は「学校のリストを渡すのでご自分でコンタクトを取ってください」で済ませていたり、誰も就き手がいない不人気な環境の職場を斡旋したり、海外の学校に着いてみたら、まだこれから学校を作るところで、学校自体が存在していなかった、といった嘘のような本当の話も多々あります。
また、過度に就職サポートを期待している受動的な人は、1,2年持たずに辞めていく傾向があります。日本語教師というのは、遅かれ早かれフリーランス的に働いていかないといけない厳しい職です。自分の力でよい職場をかぎわけて見つける、というのが非常に重要なスキルの1つですが、その部分を就職サポートなどで外注して他者依存すると、大切な嗅覚を養う機会を逸してしまい、今後につながることはありません。就職活動はサポートを介さず、しっかりと自分の目・耳・足で相手方を良く見て、相手(就職先)との呼吸を確かめながらおこなうべきものです。講座に淡い就職サポートを期待されている方がいらっしゃったら、今一度、ご自身の胸に手を当てて、進路としての日本語教師の世界というものを再考されることをお勧めいたします。
講師や学校の評判や口コミ
講座の担当講師の評判なども気になるところですが、あまり評判や口コミ情報に右往左往するのも禁物です。どんなに評判の良い講師であっても個人的には相性が合わなかったり、忙しすぎて質問等に応じてくれなかったり、と講師との相性も人それぞれ だからです。
また、全国展開している学校も分校(支店)によって、また講師によってもそのレベルが様々で、当たり外れがどうしても生じます。
要は講師に求めすぎないこと、学校に期待しすぎないことです。結局、日本語教師養成講座というのは「420時間」のシラバスに沿って最低限の要件が満たされていれば、大なり小なり中身は同じですので、後は結局は自分次第ということになります。他者依存・他力本願な性質が少しでもあると日本語教師としてやっていくことは困難になりますので、早いうちに修正しておく必要があります。
まとめ
前述のとおり、この職には絶対的な資格、というものはありませんので、上記の420時間や検定合格も「これさえ取得すれば全世界どこでも通用する」ものではありませんし、独学で日本語教師をされている方もいる自分次第の裁量が大きい職種です。機関や国によっても求められる条件が異なってきますので、ご自身に合った講座や資格をお選びください。
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