Q. 日本語教師を育てる日本語教師養成学校の先生の仕事に興味があります。日本語教師養成講座講師にはどうやったらなれますか?
日本語教師養成講座の講師になるには
A. こちらの養成講座講師の求人(全国)のような求人情報をネット検索で探して、応募するのが一般的です。募集締切後でも、欠員が出ている場合もありますので、問合せしてみるのもよいでしょう。
日本語教師養成講座の講師というのは、通常の日本語教師の延長線上にあるものです。何か日本語教師養成講座の講師になるための専用の講座や講習、特別な資格や免許があるわけではありません。強いて言うなら「日本語教師としての豊富な経験」が必要です。
そのため、日本語教師養成学校で日本語教師を育てるポジションに就くには、1にも2にも、まずは日本語教師になり、そして日本語教師として何年か経験を積んでおく必要あります。
そうでないと、これから日本語教師を目指す生徒に、日本語教師という職がどんなものか教えられません。ですので、日本語教師養成講座講師のどの求人を見ても、通常は日本語教師としての最低限3年とか5年かそれ以上の豊富な経験が求められていることが多いです。
講座講師に求められる豊富な経験とは
以下のような経験が最低限、求められることが多いです。
- 日本語教師を何年も経験している。(パート・非常勤~専任・フルタイム全ポジション)
- 日本語学校を複数校勤務経験があり、様々な学校を知っている。
- 教室(グループレッスン)だけでなく、プライベートレッスンでの教授経験もある。
- 国内だけでなく海外でも日本語教師経験がある。
- 留学含め諸外国の諸事情を熟知している。
- 自身も420時間養成講座を修了した経験がある。
- 日本語教育能力検定試験も合格した。
- 特定の教え方のみならず、間接法や直接法など柔軟に教えられる。
- 大学でも日本語(教育)を専攻または副専攻が望ましい。
要は、日本語教師関連において、オールラウンダーでなければならないということです。日本語教師に関するあらゆる資格から待遇までインプットされていて、それをこれから日本語教師を目指す人たちにアウトプットできる人材が、日本語教師養成講座講師には求められます。
過去の求人例
講座講師の求人情報の具体例を見るとわかりやすいので、ご参考までに過去の求人情報を下記します。
日本国内の日本語学校での日本語教師養成講座講師求人例
【職種】:420時間養成講座講師:(非常勤)
【職務内容】:日本語教師養成420時間講座の講義
【講義時間】:3時間/科目/回(途中休憩あり)
※担当科目の講義期間、毎週同曜日同時間帯にご担当頂きます。
※講義期間は科目により異なります。
※科目により1科目、1回、1.5時間の場合あり
【待遇】:時給3000円~(応相談:経験、模擬授業の評価により決定/実力に応じ昇給有)
【応募資格】:
[理論講座担当講師]:
(1)大学院修士課程修了者(在籍中も可)かこれと同等以上の業績、能力を有する者
(2)外国人への日本語教育経験がある方
(3)熱意と良識のある方 ※日本語教師有資格者、養成講座講師経験者優遇
[実践講座担当条件]:
(1)日本語教師有資格者で留学生クラスでの教師歴5年以上
※さらにプライベートレッスン・ボランティア経験もある方優遇
(2)教え方を具体的に例示して教えられる方
※後進の先生のお役に立てればという熱意ある方歓迎
【応募方法】:以下の書類をEメール添付にて送付
【応募書類】:
(1)履歴書(写真貼付必須)※志望動機、勤務可能曜日と時間帯等明記
(2)職務経歴書(日本語教師・日本語教師養成講座指導歴を明記)
※教えることができる科目明記(例)社会言語学、音声など
【選考方法】: 一次:書類選考→二次:面接/模擬授業
※科目、ご経験により模擬授業の内容を決めさせて頂きます。
※応募書類の返却不可となります。あらかじめご了承ください。
※お問合せはEメールのみとさせて頂きます。
※上記はあくまで過去の求人例です。当ページでの現在の募集ではありません。
講座講師の給料の相場は
講座講師は、ほとんどが時給(コマ)制の非常勤で、1コマ60分で3000円前後のところが多いです。
過去の求人の給与例
- 東京・代々木 非常勤 1コマ60分 時給3000円
- 東京・新宿 非常勤 時給3200円~
- 東京・西新宿 非常勤 1コマ60分 時給2000~5000円(保有資格や経験等による)
- 東京・早稲田 非常勤 時給3000~5000円(経験や模擬授業等により決定)
- 東京・恵比寿 非常勤 時給2500~3000円
※それぞれ交通費は別途支給
※その他、教材作成兼務等で時給1500円程度が付随することもあります。
講座講師は、正社員職(常勤)は少ないため、他で日本語教師をしながら、掛け持ちで養成講座講師をやっている人も多いようです。また、求人数は、養成講座が多い首都圏に集中しており、地方の場合は養成講座自体が少なく、回転率が悪い(校数が少なく一度採用されると長く在任する)ため、あまり講座講師募集の求人を見かけることはありません。
応募の連絡方法
ふつうの日本語教師の求人もそうですが、通常、日本語教師関連の就職活動での応募方法は、Eメール添付が一般的です。学校や採用担当者は忙しく、電話での問合せは時間が拘束されるため、採用側は電話対応を非常に煙たがっていることが多いので気をつけましょう。「Eメールで連絡を」と記載されているにも関わらず、電話をかけてしまうと、「求人情報をよく見ない不注意な人間」とみなされ、それだけで不採用になってしまう場合もありますので電話魔の人は気をつけましょう。→参考:[ 日本語教師の就職成功率を上げるちょっとした工夫・注意点 ]
日本語教師有資格者とは
求人の際によく目にする「日本語教師有資格者」とは、こちらの日本語教員資格ガイドラインで定められているお馴染みの文言:(1)日本語教師養成420時間講座修了(2)日本語教育能力検定試験合格(3)大学で日本語(教育)を主専攻/副専攻の(1)~(3)のいずれか・・・を指すのが一般的です。
養成講座講師の求人の見つけ方
通常、自分が日本語教師として勤めている日本語学校で養成講座講師のポジションに空きが出たときに、日本語教師と掛け持って就任するのが一般的です。その他は上記の求人例のように、インターネットで求人が募られており、それを検索して探すのが一般的です。日本語教師の求人サイト集の各団体の求人ページにて講座講師の求人が出ている場合もありますし、各日本語学校のホームページにて直接、講座講師を募集している場合がありますので、1週間に1,2回でもマメにネットサーフィンをしておくとよいでしょう。
いろいろな資格も経験しておく
一言に日本語教師有資格者の日本語教師養成420時間講座といっても、学校によって多種多様な特徴がありますので、1つ(1校)に限らず、いろいろな日本語教師養成講座を経験しておくことも大切です。
例えば、講師として検定対策講座を420時間に組み込んで教えなければならない場合などもありますので、ご自身が検定合格しておくことはもちろん、検定対策が含まれた420時間講座を修了しておくと、ご自分が教えるようになった際に役立ちます。
また、ITインフラの普及に伴い、通信の日本語教師養成420時間講座で教鞭を取ることも今後増えてくることが予想されますので、通信教育の講座も自身が体験しておいたり、インターネット関連では、在宅オンラインの日本語教師でマンツーマンレッスン経験を積んでおくのも、これから日本語教師を目指す人達が興味を持つ体験談にもなります。
養成講座講師になることのメリット
普通の日本語教師だけでなく、日本語教師養成講座の講師を掛け持ちすることのメリットは、やはり収入が安定するということです。
日本の一般的な日本語学校は、1,4,7,10月の間に学期間のお休みなどがあり、その期間は、非常勤講師は収入がなくなる場合があります。そうした休眠期間にうまく講座講師職を入れることができれば、収入の安定につながります。
また、通常の日本語教師のお客様は、日本語を学ぶ生徒つまり外国人がお客様なわけですが、この海外からの留学生や海外で日本語を学ぼうとする生徒の数というのは、常に不安定なのが実状です。
特に大震災や、地政学的リスクなど国際情勢に非常に左右されやすく、それでなくても日本語を学ぼうとするのはアジアの貧しい国々の方が大半を占めており、日本語教師単品だけだとかなり収入は不安定です。
その反面、日本語教師養成講座の講師になれば、生徒は日本語教師になろうとする日本人がお客様ですから、外国人を相手にするよりも安定した収入が見込めるわけです。
ですので、どの日本語学校も、日本語教師養成講座を併設して日本人からお金を徴収することで学校運営・講師収入を安定させようとしている学校も少なからずある・・・ともすれば需要を超過して供給を過剰生産し続けている・・・という一部、空(から)産業化してしまっている実態があるのも、この業界の1つの側面であったりもします。
「お金持ちになりたければ、金持ちになるための本を書けばよい」などとよく世間で言われていますが、「日本語教師としてうまくやっていくには、日本語教師を育てる講座講師になればよい」といった文言が浮かんできてしまいます。
やりがい
何はともあれ、収入安定という魅力に加え、日本語教師に関するいろいろなポジションを経験することは、教師としての、また人間としての幅を広げてくれることは間違いありませんし、外国人に日本語を教えるだけでなく、同職の後輩の育成というのも、非常にやりがいを感じるお仕事であることには間違いありません。
日本語教師としてデビューされた方は、ぜひ養成講座の講師というポジションも視野に入れて、日本語教師としてのキャリアアップを計っていくとよいでしょう。