求人に応募する際、ちょっとした工夫や注意点を守ることで就職成功率を高めることができます。
そのコツは、「とにかく相手方(採用担当者)側の立場に立って行動を取ること」です。
以下、そのヒントや一般的な注意事項を何点かアドバイスさせていただきますので、日本語教師や幼稚園教諭、保育士の就活の際のご参考にしていただければ幸いです。
求人に応募する際の注意点
「御社」と「貴社」・・・使い分けできていますか?
日々、いろいろな方とやりとりさせていただいておりますが、意外と「御社」や「貴社」などの使い分けができていない方が多いことに驚きます。中には「御社」と言うべき(「貴社」と書くべき)ところを、「弊社」と書いてしまっている人さえいます。
もちろん、この使い分けが間違ったからといって、この1点だけで選考不合格になる可能性はあまりないかもいしれませんが、「一般常識が無い」または「これではビジネス日本語など教えることができないであろう」とのマイナス加点を得てしまう可能性は大きく、小さなイエローカードの積み重ねがレッドカード(失格)につながるが如く、こうした最低限のマナーは、できておくに越したことはありませんので、気をつけておくべきポイントです。
【御社】、【御校】、【御園】、【御所】
口語、つまり電話や面接などで話す際に相手方の団体を指す際に 【御】(おん) を使います。
→例2:学校(スクール/アカデミーなど)の求人に応募した場合の電話/面接では:「御校」(おんこう)
→例3:幼稚園・保育園の求人に応募した場合の電話/面接では:「御園」(おんえん)
→例4:○○センターなど上記以外の施設の場合の電話/面接では:「御所」(おんしょ)
【貴社】、【貴校】、【貴園】、【貴所】
文語、つまりEメールや郵便での書類送付の際に、相手方の団体を指す際に 【貴】(き) を使います。
- 例1:会社の求人に応募した場合のEメール/履歴書などの紙の書面では:「貴社」(きしゃ)
- 例2:学校(スクールなど)の求人に応募した場合のEメール/履歴書など紙面では:「貴校」(きこう)
- 例3:幼稚園・保育園の求人に応募した場合のEメール/履歴書などの紙面上は:「貴園」(きえん)
- 例4:○○センターなど上記以外の施設の場合のEメール/紙面上では:「貴所」(きしょ)
電話での問合せ方の一例
※電話での問合せは、「電話連絡可」と記載してある求人のみです。通常は電話は嫌われます。
御社(御校/御園)の日本語教師の求人広告を拝見しました。応募方法について2、3ご質問させていただきたいのですが、採用ご担当者様はいらっしゃいますでしょうか。」↓
(採用担当者が電話口に出たら、もう一度上記の自己紹介を繰り返し)
「今お時間はよろしいでしょうか。」と相手方の都合をまず気遣うようにしましょう。
Eメールでの問合せ/応募書類送信の一例
Eメールの件名(タイトル): 「○○(日本語教師ほか職種名) 求人応募の問合せ」←一目瞭然に。
○○学校
採用ご担当者様 (または〇〇様)*1
「〇〇」のホームページで貴校(貴園)の「○○(日本語教師ほか職種名)」の募集を拝見した xxxx と申します。 ←まず名乗ること。そして何を見ての応募か明記すること。相手方もいろいろな所に求人を出している場合あり。
貴校のwebも拝見いたしまして、自分の志望に合い、またお役にも立てるはずだと考え応募を希望しておりますが、応募に際し、以下2点お尋ねいたしたく、当メールを送信申し上げます。 ※相手との接点と本メールの趣旨を明確に。
【問合せ内容】 ←端的に。できるだけ箇条書きに近づける。
- 4月からの勤務開始とのことですが、具体的な赴任時期はいつになりますでしょうか。
現在、在職中の身でして、日程の調整が必要な場合がありますのでご教示いただけますと幸いです。 - 給与は応相談とのことですが、添付書類の通り3年、当職の経験がある場合などは、どのくらいを見込めますでしょうか。
【当メール添付の応募書類】
- 履歴書(PDFファイル1枚)
- 職務経歴書(WORDファイル2枚)
- (その他「作文」ほか、求人情報記載の指定の書類など)
以上、ご査収の上、何卒、選考対象として、書類送付や面接などについて今後の指示のご返答を賜りたくお願い申し上げます。←終始、謙虚な姿勢を忘れずに。
***********************************
名前:○○ ○
連絡先携帯電話: 080-xxxx-xxxx
連絡先Eメール: xxxxxxxxxxxxx@gmail.com
連絡先Eメール(予備): xxxxxxxx@yahoo.co.jp ※メールが届かないことがあるので予備記載がベター
***********************************
「御担当者様」で済ませてませんか?
*1・・・採用担当者の名前が分かっているのに、「御担当者様/ご担当者様」で済ませるのは、「相手側の個としてのアイデンティティ」を無視(人格を無視)するようなもので、受取側に不快(マイナス)なイメージを与えます。
受取側からすると、
- 「この人、こっちの名前を覚えないんだな」とか
- 「案内をよく見ていない不注意な人なんだな」
- 「流れ作業であちこちに同じ内容のメールを送り付けているに違いない」
といった心象を持ちかねません。
人と人、マンツーマンのコミュニケーションです。相手の名前がわかっている場合は、しっかりと「〇〇様」と名前を書き、丁寧に相手と向き合いましょう。
上記はあくまでご参考までの一例です。(上記枠内の赤字はアドバイスです。) 基本を押さえながら、ご自身のオリジナリティが出るよう、アレンジしていってください。
頭語・結語は不要
Eメールは、郵送の書類よりもくだけた、どちらかというと口頭でのやりとりに近い位置にあるコミュニケーション手段です。そのため、一般的には、Eメールの本文には「拝啓」「前略」「草々」などのかしこまりすぎた頭語や結語は不要です。
簡潔・短文・改行・スペース
Eメールのコツは、なるべく1文をできるだけ短く区切り、簡潔に必要最低限の要件だけを書くこと。
読む人がパッと見て直感的に全体像がつかめるよう、改行や文章の塊ごとにスペースを空けること、です。
装飾は不要
まれにEメールの本文を「リッチテキスト」形式で編集して、太字や文字に色をつけるなど装飾し、しかも「明朝体」などのフォントで送信する方がいらっしゃいますが、Eメールを受取る側のPC環境によっては、せっかく装飾した書式が崩れて届いてしまったり、文字化けして読めなくなってしまったり、リッチテキストはメール本文も重くなるので届かない確率が上がったり、受取り側も嫌う人もいたりします。
特に海外の求人に応募する際などは、こうした不具合が起きやすくなります。
Eメールというのは業務的(ビジネス的)な手段ですので、シンプルにふつうの「テキストだけ(書式なしのテキスト)」で左寄せで書くようにしましょう。
機種依存文字は使わない
上記と同様に、Eメールでは丸数字(丸で囲んだ数字)等の機種依存文字は使わないようにしましょう。受取り側が読む時に文字化けしている可能性が「大」です。
また、全角数字も文字化けしたりする場合がありますので、英数字はできるだけ半角で統一するようにしましょう。
特に国際間・海外とのやりとりをする際には、文字化け発生率は高まりますので、半角優先、機種依存文字は避ける等の配慮は一般常識です。
写真(写メ)は不可
信じられない話ですが、今の時代、書いた履歴書をスマホで撮影して、その画像を応募書類として送付する応募者もいるようです。履歴書や職務経歴書を写真で提出してしまいますと、受取側が文字の細部が読めなかったり、印刷しづらかったり、画像だとデータが重く読み込めなかったりメールが届かなかったりしますので、「写真で撮った履歴書の添付は不可」が大前提である場合が多く、「一般常識がない応募者」とみなされる可能性もあります。
(書類ではなく、顔の証明写真のほうはデータも軽いためJPEGなどの画像での提出は可の場合が多いです。)
履歴書や職務経歴書をEメール添付で提出する場合、PDF形式での提出が一般的です。もしくはWORD、EXCELファイルで受け付けてくれる場合もありますが、その場合、受取側の環境によっては書式が崩れてしまう可能性もあるので、やはりPDFにしたものが推奨されます。
WORDやEXCELで作った場合は、そのままパソコン上で、CutePDF Writerなどの無料のPDF化ソフトでPDFにすることができます。また、手書きで書いてスキャナーがない場合は、コンビニのコピー機でスキャンしてPDF化することもできます。
求人応募する際の書類は、できるだけPDF化して送るようにしましょう。
Eメールが届いていない可能性も考慮する
Eメールを送ったのに、「採用担当者から返事もない!」と稀に一方的に逆切れする人もいらっしゃいますが、Eメールも届かないことがあるシロモノであることをまず理解しておいてください。送信エラーなどもなく、相手方に届いていなかったり、相手方の迷惑メールフォルダに振り分けられたりして、相手方も気付いていない可能性も多々あります。
「問合せをした/求人に応募した」のに「返事がない!無視された!」と決め付けて一方的に怒るのではなく、2,3日待っても返事がない場合などは、メール不着の可能性もふまえ、前回送ったメールとは別のメールアドレスから送信してみる(例:前回はgmailで送ったが、今回はYahooメールで送ってみる)、とか、「添付なし」で「以前、こういった内容の応募メールを送ったのですが、届いておりますでしょうか」といった趣旨のメールを改めて送信してみるとよいでしょう。
自分が提出する履歴書には2種類以上の返信用のメールアドレスを記載しておき(例えばgmailとhotmailなど)、「お手数ですが、メールが届かない可能性があるため、この2つのメールにご返信いただけますでしょうか」と添えて提出しておけば、相手方から自分へのメールが届かないリスクを軽減することができます。
それでも返事がない場合は、そのとき初めて、募集機関のホームページをチェックして、電話をかけてみるなり、その学校のホームページのお問合せフォームを利用して送信、または代表宛のメールアドレスに送信してみる、などの二次的・三次的手段を取る段階となります。
それでも連絡が取れなかったり、返信がなかった場合は…これはもうその職場とはご縁がなかったものとしてあきらめるしかありません。連絡手段含め、相手方との相性が悪いということなので、相性が悪い相手と無理にマッチングを進めても後々不幸になるだけです。怨念は捨てて次へ進みましょう。人生の成功者には「切り替えが上手」、という共通点があります。
郵送の場合の注意点
履歴書などの採用に関する各種応募書類を郵送で送らなければならない場合もありますが、最近は郵便でやりとりする、ということに慣れていない人が増えてきているせいか、とんでもないミスを犯してしまっていることに気付かないまま不採用になっている方も多くなってきています。
御中
封筒宛名の学校名など採用機関の名前の下に、きちんと「御中」等、付していますか?最近では、ひどい人は「様」さえもつけずに発送したり、宛先が「○○行」 となっていたので、そのまま「行」で出してしまう、という一般常識が欠落した人が多くなっています。
切手と料金
信じられない話ですが、「郵便物は切手を貼らないと送付できない(または窓口で郵送料を払わないと郵送できない)」ということさえも知らない人が少なからず増えてきているここ最近です。
切手を貼らないで郵送すると、届かなくもないのですが、通常よりも日数がかかった上に、届いた相手方に郵送料請求ハガキが付された状態で届き(つまり不足分の郵便料金が受取人に請求されてしまい)、相手方が払うようになってしまい、大変失礼です。
また、郵送内包物が多くなった場合、郵便料金に不足金が生じますが、その不足金の請求も受け取る相手側に請求されるようになります。
この点だけで不採用・不合格の要因になりかねませんので、当たり前のことを当たり前にできるようにしておきましょう。
封筒裏の送付人の住所氏名
これまた最近顕著に増えてますが、手紙の一般常識として封筒の裏(もしくはせめて封筒のどこか)には、送付した人物の住所氏名は最低限、書きましょう。
万が一、宛先が間違っていたり、判読不明瞭な文字で書いてあったりした場合などに、送付人の住所氏名の記載がなければ、その郵送物は返送されることもなく、永久にどこかにさまよい続けることにもなります。
せっかくの求人応募書類なのに、封筒を開ける前からマイナスイメージが付いてしまうと、履歴書や職務経歴書がいかに立派でも、すべてが無駄になりかねません。→関連:[履歴書は手書きが有利ですか?]
速達・書留・特定記録で出してみる
応募締切日に余裕がなくなってきている場合は速達扱いで出したり、どうしても確実に相手方に届かせたいとき、郵便物が届いたかどうか知りたいときなどは、普通郵便料金に加えて書留か特定記録付きとして求人応募書類を発送する、という手段もあります。
こうした普通郵便以外の方法で送ることは、ちょっとした応募の真剣度をアピールする効果もある場合があります。
求人応募が混み合う時期を避けて就活する
毎年1回開催される日本語教育能力検定試験の前後くらいから日本語教師という職への関心が高まり、新参の求職者が、日本語教師の労働市場に新規参入で流れ込んできますので、求人応募の競争倍率が高くなり、就職し難い状況になります。
具体的には、10月末に行われる検定試験の前後ぐらいから、特に11月~2,3月頃は応募者(求職者)が増加し競争率が高くなる傾向がありますので、その時期を避け、11月までに就職・転職活動を終わらせおくのも、就職成功率を上げるちょっとしたコツの1つです。
就活の際にやってはいけないこと
指定の連絡方法以外の手段でコンタクトを取ること
求人情報に連絡方法(履歴書等提出方法など)を指定しているにも関わらず、その募集機関のホームページにアクセスして、ホームページの問合せフォームや、他のEメールアドレスや電話番号を調べて、問い合わせをすることはご法度です。
これらのホームページ記載のフォームや連絡先は、通常、求人応募者を対象とはしていない、一般客向けに公開しているものですので、受け取る担当者も違い、採用側にとっては非常に迷惑なコンタクトの仕方なので、指定連絡方法以外の手段での連絡は避けましょう。
特に電話は嫌われます。忙しい相手をリアルタイムで拘束してしまう点と、言った言わないの水掛け論が発生しやすい点、そして結局、履歴書等書面を見てみないとわからない点が多い・・・などの理由によります。
まとめ
以上、いろいろ細々とあるように見えますが、マナーについては、いずれも「相手方の立場に立って事を進める」という1点につきます。自分が採用担当者だったらどうだろうか、といった視点がすべて共通するポイントです。資格やご自身の売込みばかりに気を取られるのではなく、こうしたちょっとした気遣いに一工夫を凝らすことが、日本語教師や幼稚園教諭・保育士の就職成功率を高める秘訣でもあります。
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