2017年10月22日(日)に行われた平成29年度 日本語教育能力検定試験の合格通知が、12月18日頃には受験生のお手元に届きつつあるようです。
特定記録郵便でポストに届けられた封筒の表には、朱書きで「合格証書」と書かれているので、封を開けずして合格していることがわかります。

合格通知封筒

封入されているものはシンプルに、カバーレターを兼ねている「検定結果通知書」と「合格証書」の2枚のみです。

【結果通知書と合格証書】
検定結果通知書と合格証書

合格証書には、顔写真が印刷され、名前、生年月日、証明する文章がそれぞれ英語でも併記されているので、そのまま海外の日本語教育機関へ就職する際の証明にもなるようになっています。

あなたは公益財団法人日本国際教育支援協会が実施した平成29年度日本語教育能力検定試験に合格したのでこれを証します
平成29年12月8日
This is to certify that the person named above has successfully passed the Japanese Language Teaching Competency Test administered by the Japan Educational Exchanges and Services on October 22, 2017
December 8. 2017.

この合格証明書を新たに受け取った合格者が、意気揚々と日本語教師の就職戦線になだれ込んでくるので、12月下旬から翌年3月あたりまでは、就職の競争倍率が上がる(就職が決まりにくい)傾向があるようです。

2017年の合格率は?

2017年の日本語教育能力検定試験の合格率は25.52%でした。つまり、受験者の4人に1人は合格したことになります。→[検定の合格率詳細はこちら] 受験者数は昨年より800人程増加(前年比約16%増加)したにも関わらず、合格率は昨年とほぼ同様だったことから、おそらく2017年の新基準施行にともない、これまですでに日本語教師をされていた方で四大卒に満たない方や、420時間講座修了ないし大学での専攻資格のみしか持っていなかった人が、今回検定に臨まれた(経験者ゆえに合格可能性が高かった)のではないかと推測しています。

2017年の傾向は?

試験内容自体は、相変わらず出題範囲は多岐に渡り、2011年の改訂以来、基礎に忠実な出題が続いているようです。

受験者のほうは、女性が7割以上を占めているのは相変わらずです。
また、初めての受験者が7割、2回目の受験者が18%程、3回目と4回目の受験者が少数ですがほぼ同数であることは例年と変わらず、だいたい受かる人は受験回数1~2回以内には合格し、3回受験した人は4回目もある可能性が高い、または2回受験で挫折しているかもしれないことが今年の結果からもうかがえます。

特筆すべき点は、高齢化が顕著になってきていることです。

検定受験者の年齢グラフ

全科目受験者 年代別比 推移(http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm)-財団法人 日本国際教育協会

検定試験年代別上のグラフを見ても明らかなように、年々、「50歳以上」の受験者が増加の一途であり、ここ数年すでに3割を超えていましたが(つまり3人に1人が50歳以上)、2017年はついに4割に達するような状況になってきました。受験者のほぼ5人に2人が50歳以上、と言えるような状況です。

日本は少子高齢化が著しい一方で、日本語教師というのは、簡単には外国人労働者で代用できない仕事であり、かといって給与等が低く若い世代が生活の糧としてやっていくには難しい職であることから、今後ますます高齢化していき、あと数年で、検定の受験者同様、4割~5割、つまり日本語教師の2人に1人が50歳以上という時代がもうすぐそこまでやってきています。→[高齢化が不可避な日本語教師でシニア人材の需要]

2018年の試験は?

2018年の検定試験の日程もすでに公示され、例年通り10月の年1回、2018年10月28日(日)に開催されます。試験会場も例年通り、日本国内の全国主要都市のみで行われる模様です。
受験者は日本国内でも5700人ぐらいしかいませんので、来年も海外やその他の地域での試験開催はないことが予想されます。

また、受験者数ですが、上述のように、今年は新基準の影響で、現役日本語教師や四大卒に満たない方が検定試験に流れてきたものとみられますが、それも一時的で、来年はまた例年の数字に収まって受験者数は5000人弱(4000人台後半)になるのではないかと見ております。

検定試験の今後は?

現状、日本語教育能力検定試験は実技試験(模擬授業等)はありませんが、平成30年(2018年)3月の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」では、「養成・研修の在り方」として、

日本語教育能力検定試験合格者等については教育実習の受講が望ましい (指針の30ページ)

と記載されており、近い将来、検定試験も、ペーパーテスト合格単品では不可で、教育実習とワンセットになって初めて有資格と認められる・・・という形に制度が変わる可能性があります。
この平成30年3月の新指針では、大学での専攻や420時間講座においても、教育実習の実施強化に重点が置かれており(指針の38ページ)、検定のみ教育実習がないという矛盾点は、そう長く放置されることはないでしょう。

但しその場合も、すでに検定合格した方などには、例えば3年以上法務省告示機関で経験がある人は免除とか、後から短期の実習講座をどこかで受ければOK、といった何かしらの救済措置が設けられることは考えられます。

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